【ソムリエ厳選】美味しい&おすすめポートワイン12選

きむ本記事では、ソムリエが厳選した、「おすすめポートワイン12選」をご紹介します!ポートを単なる甘口ワインと侮ることなかれ。その極上の風味と世界観にハマること間違いなしですよ!
ポートワインの美味しさ・魅力
ポートは、ポルトガルで造られる酒精強化ワイン(ブランデーなどを加えてアルコール度数を高めたワイン)です。アルコール発酵途中にブランデーを加えて、糖分がアルコールに分解される前に発酵をストップさせて造るポートは、基本的に甘口ワインになります。
アルコール度数が強化されているため、ポートは普通のワインよりも保存性に優れています。開栓後も、冷蔵保存であれば2ヶ月ほど、常温環境下でも1ヶ月ほどは味が落ちません。家に1本ストックしておけば重宝するでしょう。
リッチな甘味と豊かなコクがあるポートは、基本的には食後酒として、チーズやチョコレートなどに合わせて飲みます。ワインだけでじっくり味わうのもおすすめ。物思いにふけったり読書をしたりしながら過ごすような、ゆったりと流れる時間のお供にポートは最高です。
個人的におすすめなのは、暖炉や焚き火の前で薪が燃える音を聴きながらポートを飲むことです。キャンプやグランピングが好きな方は、ポートを1本持って行くことをおすすめします。そこにシガー(葉巻)があれば、至福の時間になること間違いなしです。

ポートについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

【ソムリエ厳選】おすすめポートワイン12選
おすすめポートを紹介する前に、簡単にポートの種類を紹介します。今回のおすすめポートは全て、以下の種類の中から選んでいます。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| ルビー・ポート | 3年ほどの樽熟成で出荷される、最もスタンダードな赤のポートワイン |
| ホワイト・ポート | 3〜5年の樽熟成で出荷される、最もスタンダードな白のポートワイン |
| トウニー・ポート | 10〜40年の樽熟成を経て瓶詰めされるスペシャルタイプ。琥珀色。 |
| ヴィンテージ・ポート | ブドウの出来が良い年だけ造られ、20年ほどの樽熟成を経て出荷される、ポートワインの中では最高級のスペシャルタイプ。澱と共に瓶詰めされるため、飲むときはデキャンタージュが必要。 |
| LBV(レイト・ボトルド・ヴィンテージポート) | ヴィンテージ・ポート同様に当たり年のみ造られるが、4〜6年ほどの樽熟成で瓶詰めされる。気軽に飲める高級ポートワインの位置付け。澱は取り除いて瓶詰めされるため、デキャンタージュは不要。 |
| コリェイタ | トウニーポート版のヴィンテージポート。ブドウの出来が良い年のワインのみで造られ、最低7年の樽熟成期間を経てから出荷される。7年はあくまで最低熟成期間であり、もっと長期間(10年〜50年)の樽熟成期間を経てから出荷されることがほとんど。 |
| 熟成年数表示トウニー | 複数の収穫年のトウニーポートをブレンドして造られるポート。ボトルには平均の樽熟成年数が記載されてお離、10年・20年・30年・40年がある。 |
| シングル・キンタ・ヴィンテージ | 一つの畑のブドウのみから造られるヴィンテージ・ポート。複数の畑のブドウをブレンドして造られるヴィンテージ・ポートに比べて、畑の個性が強く反映された味わいになる。 |
きむソムリエが厳選した、おすすめするポート12選がこちらです!
- フォンセカ ルビー ポート
- サンデマン ルビー ポート
- ヴィニョス・ボルゲス ホワイトポート
- テイラー レイト・ボトルド・ヴィンテージポート
- フォンセカ ヴィンテージポート 2016
- テイラー ヴィンテージポート キンタ・デ・ヴァルジェラス 2015
- シミントン ヴィンテージポート キンタ・デ・ヴェズヴィオ 2013
- ヴァルドウロ トウニーポート 10年
- グラハム トウニーポート 20年
- キンタ・デ・サンタ・エフューミア トウニーポート 30年
- サンデマン トウニーポート 40年
- ミゲル コリェイタ 1980
フォンセカ ルビー ポート
フォンセカは、1822年にマノエル・ペドロ・ギマラエンスが、商社であったフォンセカ&モンテイロを買収して設立したメーカーです。フォンセカ&モンテイロが、自社を売却するにあたってフォンセカを社名に残すことを条件にしたため、今でもフォンセカの名前で通っています。
凝縮感のあるカシスやプルーンの香りがあり、濃厚な甘さながらフレッシュさもしっかり感じられます。コクがあってまろやか、非常に味わいのバランスに優れたポートです。
フォンセカは、今でも昔ながらの製法(ラガールと呼ばれる大きな桶でブドウを足で踏んで破砕し、自然酵母で発酵させる)を守ってポートを造っています。
きむポートをあまり飲んだことがない方は、まず昔ながらの伝統的なポートを味わってみましょう。フォンセカのルビーポートが断然おすすめです!
サンデマン ルビー ポート
サンデマンは1790年にロンドンで設立されたメーカーで、ポートだけではなく、スペインの酒精強化ワイン「シェリー」も手がけています。スペインのつば広の帽子をかぶり、ポルトガルの学生のマントを羽織ったキャラクター「ドン」がラベルに描かれていることで有名です。
スタンダードなこちらのルビーポートは、プラムやベリーの甘い香りや、カカオの甘苦く香ばしい香りが感じられます。濃厚な甘味と滑らかなタンニンが心地よい、上品な味わいのルビーポートです。
きむサンデマンのルビーポートは、初めてポートを飲むという方に最適な1本です。ブルーチーズやチョコレートと合わせて楽しんでくださいね。
ヴィニョス・ボルゲス ホワイトポート
次におすすめしたいのは、白ワインのポートです。赤ワインのポート「ルビー・ポート」と違って渋味がないため、ホワイト・ポートの方が飲みやすい思う方も多いでしょう。
ヴィニョス・ボルゲスは1884年に設立されたワイナリーで、ポートだけでなく通常のワインも手がけるポルトガル屈指の生産者です。
こちらのホワイトポートは、「こんな甘口の白ワインがあったらいいな」の理想系。シロップ漬けの黄色いフルーツ、蜂蜜などの甘い香りが心地よく感じられ、口に含むとパーフェクトな甘味と酸味のバランスに驚きます。
きむヴィニョス・ボルゲスのホワイトポートは、キリッと冷やして飲むと美味しいです。ワインだけで飲むのも美味しいですが、四川料理や韓国料理、タイ料理などの辛くてスパイシーな料理と合わせて飲むのが最高ですよ。
テイラー レイト・ボトルド・ヴィンテージポート
テイラーは、1692年に設立された最も古いポートのメーカーで、その品質の高さは折り紙付き。英国王室御用達のポートワイン業者にも任命されています。
また、テイラーは今でこそ当たり前となっている「レイト・ボトルド・ヴィンテージポート(LBV)」を、初めて造ったメーカーでもあります。
LBVは、ポートの最高級品「ヴィンテージ・ポート」のカジュアル版といった位置付けのポートです。ヴィンテージ・ポート同様に、ブドウの出来が良い年だけに造られるスペシャルタイプですが、ヴィンテージ・ポートとは瓶詰めのタイミングが異なります。
ヴィンテージ・ポートは、2〜3年の樽熟成の後に澱と共に瓶詰めされ、そこから20年ほどの熟成を経て出荷されるポートです。それに対して、LBVはヴィンテージ・ポートよりも4〜6年ほど長く樽熟成させてから、澱を除去して瓶詰め・出荷されるポートです。
出荷された時点で飲み頃を迎えているLBVは、ヴィンテージ・ポートの熟成感をお手頃価格で楽しめます。ヴィンテージ・ポートの半額以下でヴィンテージ・ポートのような味を堪能できるので、買って損はないでしょう。
きむテイラーの偉大な発明と言われるレイト・ボトルド・ヴィンテージポート。ソムリエとしては、ぜひ一度飲んでいただきたいですね。
フォンセカ ヴィンテージポート 2016
次におすすめするのは、フォンセカのスペシャルタイプ「ヴィンテージ・ポート」です。出来の良い年にだけ造られるヴィンテージ・ポートは非常に長熟で、ものによっては50年〜100年も熟成して味わいが向上すると言われています。
このフォンセカ ヴィンテージ・ポートも例外ではなく、著名なワイン専門家によれば2030年〜2075年あたりまで飲み頃が続くとのことです。
カシスやブラックベリーのジャムの香りに、カカオ・コーヒーの香ばしい香り。ミントやスミレのような清涼感も感じられます。素晴らしくバランスが取れたリッチな甘味とフレッシュな酸味、滑らかでボリューム感のある渋味。余韻は驚くほど複雑で長いです。
ヴィンテージ・ポートをまだ飲んだことがないという方は、騙されたと思ってぜひ一度飲んでみてください。きっと美味しさと独特の世界観に、病みつきになるはずです。
きむ普通のワインは熟成すると「枯れていく」のですが、ポートは決して老いることなく、若々しさを保ちながら味わいが向上していきます。ヴィンテージ・ポートを飲んでいただければ、ワインが熟成するとはどういうことか、きっと分かっていただけるでしょう。
ヴィンテージ・ポートは澱とともに瓶詰めされています。飲む1週間前くらいからはボトルを立てて澱を瓶底に沈めて、飲む際は澱がボトル内で舞わないように静かに注ぐか、デキャンタージュすることをおすすめします。
※デキャンタージュ
底の澱の部分と上澄みのワインを分離させるために、ワインを別の容器(カラフェなど)に移し替える作業
テイラー ヴィンテージポート キンタ・デ・ヴァルジェラス 2015
こちらは、テイラーが手がける、「シングル・キンタ・ヴィンテージ」。テイラーが自社で所有する畑「キンタ・デ・ヴァルジュラス」の上質なブドウから造られています。
シングル・キンタ・ヴィンテージとは、一つの畑のブドウだけで造られるヴィンテージ・ポートのことです。複数の畑のブドウをブレンドして造られるヴィンテージ・ポートと違って、畑の個性を強く反映した味わいに仕上がります。
レーズン、ブラックベリーやカシスのジャムのような濃厚で甘い香りがふんわりと香り、口に含むと豊富なタンニンと熟した果実味が広がります。飲み込んだ後も、官能的な余韻が長く続くヴィンテージ・ポートです。
決して価格が安いポートではありませんが、得られる満足感を考えれば、間違いなくお買い得だと言えるでしょう。
きむこのポートは、ぜひワインだけでじっくりと味わっていただきたいですね。極上の時間がゆったりと流れますよ。
ヴィンテージ・ポートは澱とともに瓶詰めされています。飲む1週間前くらいからはボトルを立てて澱を瓶底に沈めて、飲む際は澱がボトル内で舞わないように静かに注ぐか、デキャンタージュすることをおすすめします。
※デキャンタージュ
底の澱の部分と上澄みのワインを分離させるために、ワインを別の容器(カラフェなど)に移し替える作業
シミントン ヴィンテージポート キンタ・デ・ヴェズヴィオ 2013
こちらは、シミントンの「シングル・キンタ・ヴィンテージ」。シミントンが自社で所有する「キンタ・デ・ヴェズヴィオ」という畑のブドウのみで造られた、ヴィンテージ・ポートです。
シミントンのポート造りは、伝統と革新の融合です。醸造過程において、足でブドウを踏んで破砕するという伝統的な手法を用いる一方で、最新技術の冷却システムで発酵を管理するなど、革新的なポート造りを行なっています。
芳醇で肉付きがよく、上質な果実味と熟したタンニンが感じられる官能的な味わい。最高峰のシングル・キンタ・ヴィンテージと言っても過言ではありません。
シミントンのキンタ・デ・ヴェズヴィオは、年間36,000本しかリリースされない超希少なポートです。見つけた時は即買いをおすすめします。
きむ有名なワイン評論誌「The World of Fine Wine」の編集者であるニール・ベケット氏が、著書「死ぬまでに飲みたい1001のワイン」で熱を入れて特集したワインでもあります。非常におすすめです!
ヴィンテージ・ポートは澱とともに瓶詰めされています。飲む1週間前くらいからはボトルを立てて澱を瓶底に沈めて、飲む際は澱がボトル内で舞わないように静かに注ぐか、デキャンタージュすることをおすすめします。
※デキャンタージュ
底の澱の部分と上澄みのワインを分離させるために、ワインを別の容器(カラフェなど)に移し替える作業
ヴァルドウロ トウニーポート 10年
きむここからは、トウニーポートのスペシャルタイプである「熟成年数表示トウニー」のおすすめを紹介します。
熟成年数表示トウニーとは、複数の収穫年のトウニーポートをブレンドして造られるスペシャルタイプのポートです。熟成年数がバラバラのものをブレンドしているため、平均熟成年数を割り出してボトルに表示しています。
こちらのヴァルドウロ トウニーポート10年は、まだまだ若々しさがあります。干しブドウ、干しイチジク、ドライプルーンなどの乾いた甘い果実のニュアンスに、キャラメルやオーク、ナッツの香りが感じられます。
お手軽に楽しめる熟成トウニーなので、ぜひお試しください。食後にブルーチーズや、パルミジャーノなどハードタイプのチーズと楽しむのがおすすめです。
グラハム トウニーポート 20年
こちらは、平均熟成年数20年のトウニーポートです。
グラハムは、スコットランド出身のウィリアムとグラハムの兄弟が1820年に設立した老舗メーカー。スタンダードなポートも造っていますが、どちらと言えば熟成年数表示ポートのような高級タイプのポート造りを得意としています。
グラハム トウニーポート 20年は価格と品質のバランスが素晴らしいため、グラハムのポートの中でもベストセラーの1本です。リッチな甘味とコクがあり、フレッシュさと程よい熟成感が楽しめます。
きむワイン単体で飲んでも十分美味しいですが、フルーツケーキやクレームブリュレなどの甘いデザートと一緒に楽しんでいただきたいですね。
キンタ・デ・サンタ・エフューミア トウニーポート 30年
キンタ・デ・サンタ・エフューミアは、1894年の設立以降ずっと家族経営を続けてきたメーカーです。日本国内ではテイラー、フォンセカ、グラハムなどのメーカーの評価が高いですが、キンタ・デ・サンタ・エフューミアは地元ポルトガルで非常に高い評価を受けています。
こちらは平均熟成年数30年のトウニーポート。10年や20年はまだフレッシュさもありますが、30年にもなるとしっかりとした熟成感が楽しめます。
干したイチジクやドライプラム、オレンジピールやキャラメルのほのかな甘苦い香り。しっかりとした肉付きの良い質感でありながら、アルコールの角がとれて丸くなっており、とてもスムースな舌触りです。
熟成トウニーの真髄を味わえる1本です。
きむ葉巻と一緒に味わう方は、ニカラグア産などの少し雑味があるパワフルな葉巻と合わせると、極上の時間を味わえますよ。
サンデマン トウニーポート 40年
70カ国以上に輸出され、多くの国でポートワインのシェアNo.1を誇る「サンデマン」が手がける、平均熟成年数40年のトウニーポートです。
40年熟成にもなると、「偉大なワイン」という表現がふさわしくなります。ドライプラム、干しイチジク、カラメルや柑橘系フルーツのコンフィなどの香り。味のパワフルさはありますが、アルコールの荒さは一切なく滑らかでエレガント、まるで上質なシルクのような舌触りです。
普通のワインの場合、40年もので「良い熟成をしている」と思えるワインに出会うのは、なかなか難しいです。仮に出会えたとしても、そのワインは10万円以上はするでしょう。比較的抑えられた価格でここまで素晴らしい熟成感を味わえるのは、ポートならではと言えます。
熟成したポートワインが偉大なワインであることが、このポートを飲めばきっとお分かりいただけるでしょう。
きむ料理と合わせるのではなく、ワイン単体でワインそのものの複雑な風味や香りに没頭して楽しむべきものを「瞑想ワイン」と言います。
このサンデマン トウニーポート40年は、まさに瞑想ワインの極致と言えるでしょう。
ミゲル コリェイタ 1980
最後におすすめするポートは、トウニーポート版のヴィンテージ・ポート「コリェイタ」です。
コリェイタは、ブドウの出来が良い年のワインのみで造られ、最低7年の樽熟成期間を経てから出荷されます。ただし、7年とはあくまで最低熟成期間であり、もっと長期間(10年〜50年)の樽熟成期間を経て出荷されるものがほとんどです。
ヴィンテージ・ポートと違って、コリェイタは瓶詰め・出荷されてからはほとんど熟成しません。そのため、コリェイタの美味しさを判断する際は、「瓶詰めされるまでの樽熟成期間」に注目すると良いでしょう。
こちらのミゲル コリェイタ 1980は、瓶詰め年が2017年と発表されているため、出荷までの樽熟成期間は約37年になります。37年熟成であれば、熟成ポートの真髄を味わえますので、この価格で飲めるのであれば非常にお買い得です。プレゼントなどで、バースデーヴィンテージ(生まれ年)のワインを探している方にもピッタリですね。
きむコリェイタは、瓶詰め前に澱を除去していますので、ヴィンテージ・ポートのようにデキャンタージュする必要がありません。お手軽にヴィンテージ・ポート級の美味しさが味わえるのもあって、個人的にコリェイタは超おすすめです。
まとめ
かつては私自身も、ソムリエでありながらポートを軽視していました。「しょせん、甘口ワインでしょ」と。もっと早く、その魅力に気づいていればと悔やんでいます。
素晴らしく熟成されたポートを飲んだ時の感動は、筆舌に尽くしがたいです。これまでたくさんのワインを飲んできましたが、偉大なヴィンテージ・ポートを超える感動にはまだ出会えていません。
私のサイトに辿り着いてくださった皆様には、これも何かの縁です、ぜひポートの魅力にハマっていただきたいです。
ポート未経験の方は、スタンダードなホワイトポートやルビーポートをまず飲んでみてください。そこで美味しいと感じた方は、レイト・ボトルド・ヴィンテージポートや熟成年数表示トウニーへと進み、どハマりした方はぜひヴィンテージ・ポートやコリェイタを飲んでみていただければと思います。