【男の色気を爆上げ】ポートワインは40代以降の紳士こそ飲むべき!

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40代以降の男性におすすめのお酒は?と聞かれれば、私は迷うことなく「ポート」と答えます。

キーワードは、「紳士の酒」、そして「人としての熟成」です。

目次

ポートは「紳士の酒」

ポートを飲む紳士と、それを背後から見つめる女性

ポートワインは、しばしば「紳士の酒」と呼ばれます。

この呼び名には、18〜19世紀のイギリス上流社会において、ポートが「食後にゆったりと楽しむ特別な一杯」として愛されてきた歴史が息づいています。

かつてイギリス上流階級では、フランス・ボルドー産の赤ワインが人気でした。しかし17世紀後半、英仏関係の悪化によって状況は一変します。高関税の影響でフランスワインの輸入が難しくなり、イギリス上流階級の人々にボルドーの赤ワインを供給できなくなったのです。

困ったイギリスのワイン商たちは、ボルドーに替わる新たなワインの供給地を探す必要に迫られました。そんなときに彼らが出会ったのが、ポルトガル北部・ドウロ川流域で造られる力強い味の赤ワインでした。

彼らは、ドウロの赤ワインを輸入することにします。時を同じくして、1703年のメシュエン条約によってポルトガルワインは優遇関税の対象となり、イギリスとポルトガルワインの結びつきは一気に強まりました。

【メシュエン条約とは?】
イギリスがポルトガルからワインを低関税で輸入し、毛織物を輸出することを取り決めた通商条約

ドウロのワインを輸入することが決まったとはいえ、当時の長い航海はワインにとって過酷な旅路でした。温度管理も十分ではなく、海を越える間に品質が損なわれることもありました。そこで考え出されたのが、ワインの発酵途中にブランデーを加える「酒精強化の技法」だったのです。

アルコール度数を高めることで保存性を高めると同時に、糖分を残したまま発酵を止めるこの技法は、結果として甘みと力強さをあわせ持つ独特のスタイルのワインを生み出しました。これがポートの原点だと言われています。

ちなみにこの製法の起源については、「イギリスのワイン商たちがドウロ川沿いの修道院で用いられていた製法を真似た」という逸話も語られています。これは史実として確定しているわけではありませんが、険しい谷あいで修道士たちがワイン造りに向き合っていた光景を思い浮かべると、どこかロマンを感じずにはいられません。

やがて、この甘く濃厚なワインは、上流階級の英国紳士たちの心をつかみます。食後に女性たちが席を外し、男性だけが残って談笑する時間。テーブルを左回りに静かに回されるデキャンタ。その中に満たされていたのがポートでした。

こうしてポートは、単なる甘口ワインではなく、「食後の余韻を楽しむための酒」として、英国紳士文化の象徴となっていったのです。

バーで見かけた老紳士

バーカウンターでグラスに注がれたポート

さて、紳士で思い出したのですが、バーの片隅で静かにポートを傾ける老紳士に出会ったことがあります。

年齢は60代半ばくらいでしょうか。仕立ての良いスーツに身を包み、白髪混じりのヒゲを蓄えた、ダンディという言葉がぴったりの男性でした。

私は、彼になんとも言えない魅力を感じていました。

決して目立つ仕草があったわけではありません。ただ、ポートを飲む所作・声色や言葉のチョイス・間の取り方・会話の主導権を奪わず聞き役に徹する包容力・周囲へのさりげない配慮などに、説明のつかない色気を感じました。それは、若い男性がもつ力強さや華やかさとは違う、静かで落ち着いた魅力でした。

そのとき私は、彼の姿とグラスの中のポートを重ねて見ていたのだと思います。

ポートは、熟成することで角が取れ、円熟味と複雑さを宿します。ゆっくりと積み重ねられた時間そのものが味わいになるお酒です。

私は、老紳士にも同じものを感じていました。長い年月のなかで不要なものがそぎ落とされ、本質だけが研ぎ澄まされた印象。決して派手さや強さはありませんが、自然と伝わってくる重厚な存在感が彼にはありました。

それは「老い」ではなく、「熟成」でした。

ポートが熟成によって味わいを深めるように、人もまた長い年月をかけて経験や思考を繰り返すことで「人としての深み」を身につけることができる。「人も熟成していくのであり、それが歳を重ねることの本質である」と、彼の姿が私に教えてくれた気がしました。

私が彼に感じた「色気」とは、ただ漫然と歳を重ねたのではなく、熟成するために自分を高めてきた人だけが持つ「内側から滲み出る余裕や陰影」だったのだと思います。

グラスの中でゆっくりと揺れるポートと、穏やかな笑みをたたえてそれを味わう老紳士。あの光景は、「人が熟成するとは何か」を視覚化した一枚の絵となって、今なお私の脳裏に焼き付いています。

熟成を楽しむから色気が滲み出る

瓶熟成中のポートワイン

40代以降の男性の多くが、「自分がもう若くないこと」に気づき、立ち止まり、悩んだことがあるのではないでしょうか。

私自身も、年齢を重ねることに対してネガティブなイメージをもっていました。若い頃には難なくこなせていたことが、少しずつ簡単ではなくなってきたからです。体力や見た目の衰えを感じるたびに、どこか取り残されていくような感覚と、取り戻せない時間に対する後悔、残された時間が少なくなっていくことへの焦りを感じていました。

しかし、それは「衰え」ではなく「熟成の始まり」だと捉えた時、気持ちが楽になりました。

40代以降の男性の魅力は、失敗経験や成功体験を通して得た判断力や洗練された考え方、落ち着き、余裕のある振る舞いにあると思います。角が取れ、視野が広がり、言葉に深みと重みが宿る。それはまさに、熟成した人間でなければ身につけられないものです。

ポートワインも同じです。熟成とともに、鋭さや荒々しさが落ち着いた穏やかさに変化します。幾層にも重なった深い香り、甘さの奥に円熟味をまとい、静かな説得力のある味わいになるのです。

ポートをゆっくりと傾ける時間は、自分自身のこれまでの歩みを肯定する時間になります。(若さを失ったのではなく深みを増しているのだ)という発想の転換を、真に熟成したポートの味わいが促してくれるのです。

特に、100年以上も熟成するヴィンテージ・ポートは、時間の概念すら変えてくれます。何十年という年月を経て熟成ワインの究極形とも言える味わいになったヴィンテージ・ポートは、「時間は敵ではなく味方になり得る」という事実に気づかせてくれるでしょう。

40代以降の男性にこそポートをおすすめしたい理由は、そこにあります。

私も、46年熟成のヴィンテージ・ポートの素晴らしい味わいを経験した時に、そのことに気づかされました。ポートが長期間の熟成によって味わいを深めるのと同じように、私も時間を味方につけながら人間性を深めていけるのではないかと。

1976年産のコリェイタ(トウニーポート版のヴィンテージ・ポート)、デキャンタ、グラス
1976年産のヴィンテージ・ポート(正式には「コリェイタ」というタイプ)

40代以降の男性がポートを選ぶことは、単に甘口ワインを楽しむことではありません。それは、「人として熟成していくことを楽しむ」という姿勢の選択だと私は考えます。

そして、無理に若さと競うのではなく、積み重ねていく時間を受け入れながら人間として熟成しようとするその姿勢にこそ、色気が宿るのではないでしょうか。

本記事のタイトルから誤解のないようにしていただきたいのですが、ポートを飲むから色気が爆上がりするのではありません。ポートと自分を重ね、「熟成」を目指して日々を過ごすから色気が滲み出るのです。

40代からの男性こそポートを嗜んで、人としての熟成を楽しみ、若者にはない色気をまといましょう。ポートが、年齢を重ねることを楽しむための最高のパートナーになってくれるはずです。

大人の男性(紳士)におすすめのポート3選

最後に、熟成を目指す紳士におすすめのポート3選をご紹介します。

グラハム トウニーポート 10年

まずおすすめしたいのが、1820年創業の名門「グラハム」が手がける「熟成年数表示トウニー」です。

トウニーポートとは、小さめの木樽で長期間熟成させるタイプのポートのこと。樽熟成によってゆっくりと酸化が進み、色合いが深いルビーから琥珀色(トウニー)へと変化したものです。

熟成年数表示トウニーとは、複数ヴィンテージのトウニーポートをブレンドし、「平均熟成年数が約◯年の味わい」を実現したものです。つまり、蔵元のブレンダーが「これが◯年熟成の完成形だ」と判断した味わいが、ボトルの中に表現されたものと言えいます。熟成年数表示トウニーには、10年・20年・30年・40年があります。

10年トウニーは、30年や40年トウニーのような圧倒的な熟成感はありませんが、若いルビーポートのような力押し一辺倒でもない、若さと円熟のちょうど中間の味わいです。勢いと落ち着きが共存する地点、それが10年トウニーの魅力と言えます。

その絶妙なバランス感こそ、40代の男性にぴったりではないでしょうか。

香りはドライフルーツ、ナッツ、キャラメル、ほのかに甘いスパイス。口に含むと、なめらかな甘みの奥に軽い酸味とローストナッツのニュアンスが心地よく広がります。

このポートをゆっくりと味わう時間は、「自分もまた、時間とともに成熟していけばいい」と思わせてくれることでしょう。

テイラー トウニーポート 20年

落ち着きと品格を備えた大人の紳士にこそ似合う1本、それがテイラー トウニーポート 20年です。こちらは平均熟成年数20年のトウニーポートです。

造り手は、1692年創業の名門「テイラー・フラッドゲート」。3世紀以上にわたりポート造りを極めてきた老舗で、英国紳士に愛され続けてきた歴史が、その品質の高さを物語っています。

20年熟成のトウニーは、長い樽熟成によって赤褐色へと変化し、若いポートとは一線を画す円熟味をまとっています。ローストナッツやキャラメル、ドライいちじく、オレンジピールの甘い香りが幾層にも広がり、口当たりは驚くほどなめらか。上品な甘味と穏やかな酸味が美しく調和しており、余韻にはビターカカオや甘苦いスパイスのニュアンスが長く続きます。

アルコール度数は20%とやや高めですが、熟成によって角が取れているため刺激は控えめです。食後酒としてそのまま楽しんでも満足感が得られますが、チョコレートやナッツ、ブルーチーズと合わせるのも良いでしょう。

仕事を終えた夜に書斎でひとり静かにグラスを傾ける。そんな情景が似合う、大人の紳士にこそふさわしい1本。価格以上の満足感が得られること間違いなしと、自信を持っておすすめします。

シミントン キンタ・ド・ヴェスヴィオ ヴィンテージ・ポート 2015 

今まさに熟成の過程を楽しんでいる大人の紳士にこそ手にしてほしい1本が、「シミントン キンタ・ド・ヴェスヴィオ ヴィンテージ・ポート 2015」。

ドウロの中でも最高品質のブドウができる畑として名高い「キンタ・ド・ヴェズヴィオ」のブドウのみで造られ、年間生産量は36,000本というレアなヴィンテージ・ポートです。

造り手は、ポルトガルの名門一族が経営するシミントン・ファミリー。ドウロ渓谷の優良畑を所有し、ブドウを足踏みして発酵させる伝統的製法を守ることでも知られています。

2015年は果実の凝縮感に優れた当たり年のひとつで、長期熟成が期待できます。ブラックベリーやカシス、ダークチョコレート、ほのかなスパイスの香りが立ち上り、口に含むと濃密な甘味と骨太なタンニン(渋味)が広がります。

今すぐ飲んでも十分に美味しいですが、あと10〜20年ほど熟成させてから飲むのも良いでしょう。すでにそれなりの人生経験がありながら、さらなる高みを目指す40代以降の男性にぴったりの1本です。

きむ

ヴィンテージ・ポートには「澱(ワインの中にある沈殿物)」があります。飲む1週間くらい前から瓶を立てて、澱を瓶底に沈ませてから飲むようにしましょう。グラスに注ぐ時は、瓶底の澱が舞わないように静かに注ぎましょう。上澄み部分だけを別の容器に移し替える「デキャンタージュ」をするのもおすすめです。

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この記事を書いた人

・飲食店の勤務経験12年(うち、ソムリエ9年)
・日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
・C.R.D.O認定 公式ベネンシアドール
・2009年 JALUX WINE AWARD ファイナリスト

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