【ソムリエ厳選】おすすめオレンジワイン10選!ペアリングのコツも大公開!

きむ本記事では、ソムリエが厳選した激ウマの「おすすめオレンジワイン10選」をご紹介します!
オレンジワインの魅力
おすすめオレンジワインを紹介する前に、まずオレンジワインの魅力をお伝えします。
オレンジワインとは?
オレンジワインは、果皮や種子を漬け込んだ白ブドウ果汁に漬け込み、発酵させて造る白ワインです。この漬け込む工程は、醸し(=マセラシオン)と呼ばれます。
言い換えれば、白ブドウを原料に赤ワインの造り方をしたのがオレンジワインです。果皮の色素が抽出されてオレンジがかった色になるため、オレンジワインと呼ばれています。

ただし、ワインボトルなどに「オレンジワイン」と明記されていることはありません。オレンジワインはあくまで白ワインの一種であり、赤ワインのようにマセラシオンを行なって造られた白ワインがオレンジワインであるという認識をしておくと良いでしょう。
オレンジワインの起源はジョージア
オレンジワインを知るには、ヨーロッパとアジアの境にある国「ジョージア」のワインについて触れないわけにはいきません。ジョージアワインが、オレンジワインの起源と言われているためです。
ジョージアでは伝統的に、「クヴェヴリ」と呼ばれる陶器の中で白ブドウ果汁と果皮や種子を漬け込み、クヴェヴリを地中に埋めてワインを造ってきました。このジョージアワインは深い琥珀色をしていたことからアンバーワインと呼ばれ、オレンジワインの起源と言われているのです。

オレンジワインの素晴らしい個性
オレンジワインは、白ワインとは個性が全く異なります。まず、果皮や種子を漬け込むことによって、一般的な白ワインには無い「渋味」が生まれます。また、一般的な白ワインとは明らかに違う独特の風味が特徴的です。
よく「オレンジワインはまずい」という意見を見かけますが、そう言う方々は本当に美味しいオレンジワインをまだ飲んでいないのではないでしょうか。
オレンジワインは、酸化防止剤を極力使用しない「ナチュラルワイン」のイメージがあります。(ナチュラルワインとオレンジワインの関係については、こちらの記事をご覧ください)
ナチュラルワインにはツンと鼻をつく独特の香りと酸味があり、この風味があまり好きでは無いと言う方は多いです。つまり、このような「ナチュラルワイン的な要素が強いオレンジワイン」を飲んだ方は、オレンジワインに良い印象を抱いていない可能性があります。
本当に美味しいオレンジワインは、華やかで濃縮感のある果実の香りや、心地よい渋味と芳醇なコクが感じられる素晴らしい味わいです。鼻をつくような、ツンとした嫌な酸味はありません。また、通常のワインでは合わせにくいような料理とも相性が良く、非常に懐が深いワインなのです。

【ソムリエ厳選】激ウマ!おすすめオレンジワイン10選
きむソムリエがおすすめするオレンジワイン10選がこちらです!
- シャラウリ・セラーズ ルカツィテリ 2019
- ワビ・サビ オレンジ・ムーン NV
- ドメーヌ・ポール・マス コーテ・マス オランジュ 2023
- ココ・ファーム・ワイナリー 甲州 F.O.S
- マルク・クライデンヴァイス ルナ・ボワール・オランジュ 2022
- ジョスメイヤー リブレ・スー・ル・シエル MMXXII 2022
- ドメーヌ・デ・ザコル クレール・オブスキュール・デ・ザコル 2023
- ヴィンデン エクスペリメント ゲヴュルツトラミネール 2022
- ダリオ・プリンチッチ ヴィーノ ビアンコ トレベツ 2020年
- ヨスコ・グラヴナー リボッラ 2016
①シャラウリ・セラーズ ルカツィテリ 2019
オレンジワインを飲むなら、まず外せないのがオレンジワイン起源の国「ジョージア」のワインでしょう。シャラウリ・セラーズは、インターナショナル・ジョージアワイン・アワードの頂点に輝いたこともある、まさにジョージアワインの模範といった生産者です。
こちらのオレンジワインは、ジョージアの伝統品種「ルカツィテリ」を使用し、ジョージアワインの伝統的製法で造られています。陶器クヴェヴリに果汁と果皮・種子を漬け込み、地中で12日〜16日かけて自然発酵。その後、クヴェヴリ内で果皮・種子と接触させながら6か月間の熟成を行い、固形物を取り除いてさらに6か月間熟成されます。
熟したアプリコットや紅茶、ジャスミンやクローヴなどのオリエンタルな香りが特徴的で、やや厚みのあるジューシィな果実味としっかりとした酸味が感じられます。
伝統的なオレンジワインの味を知るには最適な1本です。
②ワビ・サビ オレンジ・ムーン NV
ワビ・サビ オレンジ・ムーンは、世界中で人気を博すオーストリア産のオレンジワインです。グリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング、ショイレーベ、シャルドネといった、4種類のブドウから造られた複数ヴィンテージのワインをブレンドして造られています。
オレンジピールやグレープフルーツなどの爽やかな苦味を伴った爽やかな香り、しなやかな酸と華やかな果実味、ドライで繊細な味わいです。
典型的なオレンジワインの魅力が感じられるワビ・サビのオレンジワイン。これまでオレンジワインをあまり飲んでいない方にも、ぜひ手に取っていただきたい1本です。
③ドメーヌ・ポール・マス コーテ・マス オランジュ 2023
ドメーヌ・ポール・マスは、南仏で高品質なワインを造る生産者です。こちらのコーテ・マス・オランジュは、グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、マカベオという3種類のブドウ品種をブレンドして造られます。
果皮や種子を漬け込む「醸し(=マセラシオン)」は6日〜8日とやや短めなので、比較的あっさりとしたオレンジワインです。砂糖漬けにした杏子やオレンジピールなどの甘苦い香り、ジャスミンの花やハーブの清涼感、エキゾチックなオリエンタルスパイスの香りもほのかに感じられます。
口に含むと、ブドウ由来の優しい甘味と穏やかな渋味が感じられ、後味にはオレンジマーマレードのようなジューシーな果実味と少しの苦味が心地よく続きます。
オレンジワインを飲み慣れていない方にも、ぜひおすすめしたい1本です。
④ココ・ファーム・ワイナリー 甲州 F.O.S
ココ・ファーム・ワイナリーは、1950年代に開墾された栃木県のワイナリーです。知的障害のある方々が共同生活を送る「こころみ学園」が、ブドウ栽培やワイン醸造などの一部を委託されています。
ココ・ファーム・ワイナリーのワインは世界的に評価が高く、JAL国際線ファーストクラスラウンジでワインが採用されたことを皮切りに、他の国際線や列車などでも採用されているほどです。
甲州F.O.Sは、日本の伝統品種「甲州」をメインに、プティ・マンサンというブドウ品種をほんのわずかブレンドしています。F.O.Sとは「Fermented on Skins(果皮ごと醗酵)」 の略で、このワインがオレンジワインであることを表しています。
アプリコットや桃、シナモンなどのスパイス、香ばしいトーストの香りがバランスよく香ります。非常に複雑な風味と繊細な渋味が感じられ、ボリューム感・コクがあるタイプです。
日本人であれば、一度は飲んでおきたい純国産のオレンジワインです。
⑤マルク・クライデンヴァイス ルナ・ボワール・オランジュ 2022
フランス・アルザス地方で秀逸なワインを生み出す、「マルク・クライデンヴァイス」のオレンジワインです。
1週間かけて果皮と共に漬け込んだ完熟ゲヴュルツトラミネールの果汁と、シルヴァネールやピノ・グリなどの果汁のみをブレンドして発酵。その後、澱と共に1年間熟成させ、ノンフィルター・無清澄でボトリングされます。そのためワインは濁っており、沈殿物も見られます。
酸化防止剤無添加で造られるこの個性的なワインは、やや飲み手を選ぶかもしれません。ある程度の本数、オレンジワインを飲んできたという方におすすめです。ただ、そもそもこの生産者自体が秀逸なワインを造っており、非常に素晴らしい味わいのワインであることは確かなので、オレンジワイン入門の方にも自信をもっておすすめできます。
きむ酸化防止剤無添加ワインにありがちなツンと鼻をつく香りや酸味はそれほど感じられず、毎日飲みたくなるような親しみやすい味わいに仕上がっています。経験上、四川料理との相性は抜群に良かったですね!
⑥ジョスメイヤー リブレ・スー・ル・シエル MMXXII 2022
続いても、フランス・アルザス地方のオレンジワインです。ジョスメイヤーは、「料理とともにあるワイン」という哲学をもとにワイン造りを行なう自然派の造り手。その哲学どおり、ジョスメイヤーのワインは、決して強すぎる主張をすることなく料理にそっと寄り添ってくれます。
こちらのオレンジワインは、2つの区画から収穫された高品質なゲヴュルツトラミネールを使用しています。
琥珀色に輝くワインは、オレンジワインというよりはアンバーワイン。グラスに鼻を近づけると、桃やバラ、胡椒の香りが広がります。フレッシュ&スパイシーで、乾燥させたオレンジピールの甘苦い香りも。
フルボディで骨太、力強い味わいのオレンジワインです。タイ料理などスパイシーなアジア料理と合わせれば、幸せな気分になれます。
⑦ドメーヌ・デ・ザコル クレール・オブスキュール・デ・ザコル 2023
ドメーヌ・デ・ザコルは、ブルゴーニュで絶大的な人気を誇る名門ワイナリー「ドメーヌ・ラルロ」で醸造責任者を務め、天才とまで言われた「オリヴィエ・ルリッシュ」が南仏でスタートさせたワイナリーです。
ドメーヌ・デ・ザコルのワインスタイルは、「エレガント」の一言に尽きます。非常に繊細で品格のある味わいです。
こちらのオレンジワイン「クレール・オブ・スキュール」は、南仏のブドウ品種であるクレーレット・ブランシュ、クレーレット・ロゼから造られます。12日間かけて果皮を漬け込む「醸し」を行ない、果皮の成分が十分に抽出された深みのあるオレンジワインです。
現在、年間生産量はわずか数百本ほどで、日本への入荷もわずかしかありません。今後ますます入手困難になることが予想されるため、今のうちに飲んでおくことをおすすめします。
⑧ヴィンデン エクスペリメント ゲヴュルツトラミネール 2022
ヴィンデン・ワインズは、現在オーストラリアで注目されているワイナリーの一つです。毎年、ボトルのラベルには醸造家のアンガス・ヴィンデン氏が描かれています。
アンガス・ヴィンデン氏は、35歳以下の優れた若手醸造家に贈られる「Young Achiever of the Year」を受賞しており、ワイン雑誌の表紙を飾るなど、オーストラリア国内でも大注目されている醸造家です。
良質なゲヴュルツトラミネールを使って、長めに果皮から成分を抽出します。赤みがかった黄金色をしており、ムスクのような官能的な香りと、バラやピンクグレープフルーツの清涼感ある香り。舌がキュッと引き締まるような心地良い渋味が感じられ、ボリューム感もありながらドライでキレの良い味わいです。
オレンジワインはたくさん飲んできたという方に、ぜひ飲んでいただきたい1本です。
きむ最後の2本は、高品質オレンジワインの聖地とも言っても過言ではない、イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のワインを紹介します。
⑨ダリオ・プリンチッチ ヴィーノ・ビアンコ・トレベツ 2020年
ダリオ・プリンチッチは、イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州における超人気の生産者です。現在、ダリオのワインは割り当て制で、入手困難なレアワインとなっています。
こちらのヴィーノ・ビアンコ・トレベツは、ダリオを一躍有名にしたワイン。シャルドネ、フリウラーノ、ソーヴィニヨン・ブランの3種類をブレンドして造られています。
ヴィーノ・ビアンコ・トレベツの一番の特徴は、果汁に果皮を漬け込む「醸し(=マセラシオン)」が非常に長い点です。シャルドネとソーヴィニヨン・ブランは15日間、フリウラーノは20日間もマセラシオンを行ないます。
アプリコットのコンポートや熟したリンゴ、紅茶やジャスミンの華やかなアロマ。口当たりは滑らかで、酸味・旨味・渋味のバランスが非常に良く取れています。濃密ながらもチャーミングな、親しみやすいオレンジワインです。
ダリオ・プリンチッチを飲まずしてオレンジワインは語れません。オレンジワイン好きの方にはもちろん超おすすめですが、あまり好きじゃないという方もこのワインを飲んでから判断されてみてはいかがでしょうか。
⑩ヨスコ・グラヴナー リボッラ 2016
最後は、オレンジワインの元祖とも言える、ヨスコ・グラヴナーのオレンジワインです。
ヨスコ・グラヴナーは、イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の超人気生産者で、「イタリア最高の白ワインの造り手」とも称されています。ジョージアワインの素晴らしさに感動し、イタリアの地でジョージアワインと同じ製法でオレンジワインを造り、世の中に広めた第一人者です。
こちらのオレンジワインは、フリウリの伝統品種「リボッラ・ジャッラ」100%で造られています。伝統的なジョージアワインの製法そのままに、アンフォラ(素焼きの甕)でマセラシオンと熟成を行なうこと半年間。その後、圧搾して再びアンフォラへと戻し、半年間の熟成。その後、さらに大樽で6年間ほど熟成させてから瓶詰めされます。
このリボッラは、濃密にしてパワフル。一口飲むと、ブドウの圧倒的な生命力を感じることができます。ドライアプリコット、オレンジの皮の砂糖漬け、紅茶、生姜、アニス、ドライハーブ、ナッツ、燻製香など、非常に複雑な香りです。
決して万人受けする味ではないかもしれません。ただ、ヨスコ・グラヴナーこそがオレンジワインの真髄であり、オレンジワインの最高峰であることに疑いの余地はありません。ワイン好きなら、一生に一度は飲んでおきたいワインです。
【オレンジワインと料理】ペアリングのコツ
オレンジワインは、幅広い料理とペアリングできます。特に、通常の白ワインや赤ワインで合わせるのが難しい「スパイシーな料理」と相性が良いです。四川料理や韓国料理などの辛い料理や、スパイスをふんだんに使用したエスニック料理などと合わせるのが良いでしょう。
また、和食とのペアリングもなかなか面白いです。オレンジワイン特有の旨味が、味噌や醤油、みりんといった伝統的な和食の調味料や出汁と非常によく合います。
他にも、サザエやツブ貝の壷焼きや、ホタテのバター醤油焼き、ハマグリの酒蒸しなど、貝料理とも抜群の相性です。
海鮮BBQをするときは、オレンジワインが1本あると重宝するでしょう。
オレンジワインは本当に幅広い料理と合わせられますので、ペアリングのコツは「ワインで合わせるのが難しいかな?と思う料理にあえて合わせる」といったところでしょうか。
まとめ
白ワインの一種でありながら、白ワインとは明確に異なる個性をもったオレンジワイン。好みが分かれるかもしれませんが、ソムリエ目線でこれほど面白いワインはないと言えます。
その理由は、味わいにの素晴らしさもさることながら、「料理と合わせるのが楽しい」からです。幅広い料理に合わせることができるため、家飲みでこれほど重宝するワインはないでしょう。
ぜひオレンジワインを自宅にストックしておいて、和食やスパイシーな料理と合わせて晩酌を楽しんでみてください。