赤ワインのメルローとは?特徴や味、カベルネ・ソーヴィニヨンとの違いをソムリエが解説!

ぴのこ最近、メルローのワインも美味しいなって思うんですけど、メルローはどんなブドウ品種なんですか?
きむピノ・ノワールばかり飲んでいたぴのこちゃんが、ついにメルローか。選り好みせずに、色々なブドウ品種のワインを飲んでみるのは良いことだね!
しょうさんメルローの魅力に気づき始めたぴのこさんに、メルローとはどんなブドウ品種なのか、味や特徴を紹介しましょう。よく比べられるカベルネ・ソーヴィニヨンとの違いも解説しますね!
メルローとはどんなブドウ品種?
メルローは、フランス・ボルドー産の赤ワイン用ブドウ品種です。早熟で病害に強いことから非常に人気があり、カベルネ・ソーヴィニヨンに次いで世界2位の栽培面積を誇ります。
メルローは、高品質な赤ワインに求められる要素をバランス良く兼ね備えているため、カベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインにブレンドされることが多いです。
その一方で、(ワインというより神話の象徴)とまで称される世界最高峰のボルドーワイン「シャトー・ペトリュス」、ペトリュスと肩を並べる同じくボルドーの「ル・パン」、イタリアのル・パンとも言われるトスカーナの「マッセート」など、メルロー単体の素晴らしいワインも数多く存在します。

メルローのワインの特徴・味
メルローの実は、果皮が薄く肉厚です。そのため、メルロー主体のワインは渋味が柔らかく、凝縮感のある果実味にあふれた滑らかな味わいに仕上がります。
メルローのワインは、若いうちはレッドチェリーやスモモなど赤い果実の香りや、スミレの花やミントのような清涼感のある香りが感じられます。また、キノコや腐葉土の香りも特徴的です。熟成が進むと、トリュフの香りやタバコの葉、なめし革などのニュアンスが強く出てきます。
メルローのワインとカベルネ・ソーヴィニヨンのワインの違い
しょうさんカベルネ・ソーヴィニヨンと比較されることが多いメルロー。両者の違いは以下のとおりです。

メルローは酸味と渋味が中程度で、ワインの熟成が早く進みます。そのため、比較的若いうちから美味しく飲むことが可能です。一方のカベルネ・ソーヴィニヨンは酸味と渋味が豊富にあるため、若いうちは味わいが固く、渋味もやや荒さが目立ちます。熟成してからの方が、その真価を発揮するワインだと言えるでしょう。
メルローもカベルネ・ソーヴィニヨンも、濃厚なカシスやブラックベリーなどの香りがある点は共通です。ただ、メルローの方はキノコや土っぽい香りが特徴的であるのに対し、カベルネ・ソーヴィニヨンは杉の木やシダなど香りが強く出ます。
同じような風味をもちながらも、特徴的には正反対のメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンは、補完し合う関係性です。そのため両者のワインは、どちらか一方を主体にして他方を補助品種とする、いわゆる「ボルドーブレンド」が主流となっています。
メルローのワインの代表的な産地
病害に強く多産・早熟なメルローは、ワイン生産者からの人気が非常に高く、世界中で栽培されています。特に高品質なメルローのワインを生む産地は以下のとおりです。メルローのワインを購入する際の参考にしてみてください。
- フランス・ボルドー地方(ポムロール、サン・テミリオン)
- イタリア・トスカーナ地方
- アメリカ・カリフォルニア州(ナパ・ヴァレー)
- ニュージーランド(ホークス・ベイ)
- オーストラリア(マーガレット・リヴァー)
- 日本(長野県 塩尻市)
メルローのワインと料理の相性

メルローのワインと相性が良い料理の一例は以下です。
- フランス料理:牛肉のステーキ キノコのソース
- イタリア料理:フィットチーネ(平打ちパスタ)のボロネーゼソース
- 中華料理:東坡肉(トンポーロー=中華風 豚の角煮)
- 日本:キノコたっぷりのすき焼き
メルローは渋味が比較的しっかりとあるワインなので、牛肉料理との相性が良いです。ただ、渋味がしっかりあるとはいえ、カベルネ・ソーヴィニヨンほどは強くないため、豚肉や鶏肉の料理とも美味しく合わせられます。
メルロー特有のキノコの香りに合わせて、キノコを使ったソースをお肉料理に添えたり、お肉料理そのものにキノコを加えるのもおすすめです。
また、メルローはカリッと焼き上げたお肉料理と合わせても美味しいのですが、煮込み料理の方がより素晴らしいマリアージュになります。これは、メルローの柔らかく滑らかな質感と、料理の質感を合わせるテクニックです。
(詳しくは料理とワインのマリアージュ記事で解説しています)

メルローのワインをさらに美味しく飲むには
メルローのワインを美味しく飲むには、ワインの温度とグラスの形状が大事です。
メルローのワインの温度は、夏場なら16℃前後、冬場は18℃〜20℃くらいが理想です。10,000円を超えるような高級メルローは、22℃くらいで飲んでも良いでしょう。メルローのワインは、温度が低すぎると果実の甘味が感じにくくなり、渋味や酸味が強くなってしまいます。冷やしすぎには要注意です。
ワインの温度の調節には、氷水を張ったワインクーラーを使うのが早いです。室温25度でワインも常温だった場合、ワインクーラーにボトルを入れて7〜8分ほど待てば、美味しく飲める温度になります。
時間に余裕がある場合は、冷蔵庫で冷やしましょう。25℃のワインが飲み頃の18℃になるまでは、約20〜30分です。

グラスの形状は、メルローの華やかな香りが楽しめるように、大ぶりのチューリップ型(ボルドー型)を選びましょう。
ただし3,000円未満のメルローのワインは、そこまで大ぶりのボルドー型ではなく、小ぶりのチューリップ型グラスの方が美味しく感じられる場合もあります。
ぴのこ3,000円未満のメルローは、大きいボルドー型じゃないほうが良い場合もあるんですね…。どうしてですか?
しょうさん大ぶりのグラスは、それなりに香りも味も強いワイン向けです。3,000円未満のワインの中には、香りや味が控えめなものも多いです。そんなワインを大ぶりのグラスに入れてしまうと、本来の風味が楽しめなくなってしまうのです。
きむワインは舞台俳優、ワイングラスは舞台だと考えると、俳優の実力に見合った舞台を用意してあげる方が俳優も力を発揮しやすいということだね。まだ力のない新人俳優に大舞台の主演を任せても、真価を発揮できないからね。
ワインを美味しく飲むための「温度」や「グラス」について詳しく知りたい方は、ワインの美味しい飲み方の解説記事をご覧ください。

まとめ
世界の高品質な赤ワインにおいて、カベルネ・ソーヴィニヨンと双極をなすメルロー。ワイン愛好家の中には、メルローのワインが最も好きだという方も多いです。
果実味がたっぷりで、渋味が柔らかく滑らかなメルローのワインは、ワインを飲み慣れていない方でも美味しく感じていただけます。
ぜひこの記事で紹介した名産地のメルローを色々と飲んでみて、お気に入りの1本を見つけ出してみてください。