赤ワインを買う時に、味の特徴に「フルボディ」って書いてあるのを見るんですけど、あれってどういう意味なんですか?
たしかにフルボディと言われてもピンときませんよね。では今回はワインのフルボディとは何なのか、意味や特徴、フルボディの見分け方などを詳しく解説しますね。
フルボディのワインを作るブドウ品種、フルボディのワインによく合う料理も紹介するで!
フルボディとはどんなワイン?
ワインに使われる「フルボディ」とは、一般的には赤ワインの味わいを表現する言葉です。明確な定義はないのですが、簡単に言うと「コクがあって、濃厚でどっしり重い味わいのワイン」といったところでしょうか。
そもそも「ボディ」という言葉は、ワインの「味の骨格」みたいな意味で使われます。フルボディの他に、「ミディアムボディ」「ライトボディ」などの表現もあります。
ただし、このボディは相対的な感覚のもので、感じ方には個人差があります。フルボディと言われるワインであっても、人によっては軽く(=ライトボディ)に感じるかもしれませんし、中程度のコク・重さのワイン(=ミディアムボディ)であってもフルボディだと感じる人もいるでしょう。
フルボディのワインの特徴
それでは、一般的にフルボディと言われるワインにはどのような特徴があるのか、一つひとつの要素を細かく見ていきましょう。
ワインの「ボディ」を決める要素は、大きく4つあります。
- タンニン(渋味)
- アルコール度数
- 果実の凝縮感
- 樽の風味
フルボディのワインとは、これらの要素の全てまたは一部が高いレベルでバランス取っているワインのことです。
フルボディのワインの特徴❶ 〜タンニン(渋味)が強い〜
フルボディのワインは、タンニン(渋味)が強いのが特徴です。赤ワインを飲んだときに、歯茎や舌がキュッと引き締まるような感覚になりませんか?あれはタンニンの影響によるものです。
タンニンが強いワインは、弱いワインに比べて口当たりが力強くどっしり飲みごたえがあるように感じます。そのため、「フルボディ」と表現されているワインはしっかりとした渋味があると考えて、まず間違いありません。
タンニンとはブドウの果皮に含まれるポリフェノールの一種です。ブドウ品種によってタンニンの量は異なり、タンニンが豊富なブドウ品種のワインほどフルボディになる傾向があります。
フルボディのワインの特徴❷ 〜アルコール度数が高い〜
アルコール度数が高いことも、フルボディのワインに見られる特徴です。アルコール度数が高いワインはコクが強く、どっしり重い味わいに感じられます。
コクとは「味の濃厚さ」みたいなもんや。ソースで例えると、お好み焼きソースはコクが強い、ウスターソースはコクが控えめって感じやな。
関西人らしい例えね。
通常、ワインのアルコール度数は11度〜15度くらいです。フルボディのワインはアルコール度数が13度以上、なかには16度を超えるものもあります。
ただし、アルコール度数が高いワインが必ずしもフルボディというわけではありません。逆も然りで、アルコール度数がそこまで高くないワインでもフルボディのものはあります。
全体的な傾向として、フルボディのワインはアルコール度数が高い傾向にある、くらいに覚えておいてください。
フルボディのワインの特徴❸ 〜果実味の凝縮感が強い〜
フルボディのワインは、果実味の凝縮感が強いです。
ワインはブドウから造られるため、ブドウや赤いベリーの果実味が感じられるお酒です。この果実味の凝縮感が強いと、ワインは濃厚で飲みごたえがある味わいに感じられます。
凝縮感って言われても、ちょっとピンと来ないな。
例えば、果汁100%のオレンジジュースと果汁20%のオレンジジュースやったら、果汁100%の方がオレンジの味が濃くてギュッと詰まってる感じするやろ?アレが「果実味の凝縮感」が強い感覚や。
なるほど、きむにしてはわかりやすい説明ね!
赤ワインの場合、凝縮感が強くなるにつれてブドウやベリーの果実味は以下のように変化していきます。
つまり、果実味の凝縮感が強いフルボディの赤ワインは、「フレッシュで水々しい果実味」というよりはジャムやドライフルーツのような「濃縮された甘さのある果実味」が感じられる場合が多いです。
フルボディのワインの特徴❹ 〜樽の風味が強い〜
樽の風味が強いことも、フルボディワインの特徴です。
ワインの発酵や熟成に使用されるオーク樽には、バニラやスパイスの風味をワインに与える効果があります。また、樽の内側を焦がすことによって、ワインにロースト香が加わります。これらの効果によって、ワインの香りがより複雑になり味わいの厚みが増すなど、フルボディとしての要素を備えていきます。
反対にステンレスタンクで発酵・熟成されたワインは、ミディアムボディやライトボディのワインに仕上がります。
フルボディのワイン=樽の風味が強いものが多いと覚えておいてください。
少し補足すると、樽で発酵・熟成するからフルボディのワインになるというよりは、「フルボディのワインになるブドウ品種が樽発酵・樽熟成に向いている」と言った方が正しいかもしれません。
フルボディのワインになるブドウ品種は、もともと渋味が強かったりブドウの糖度が高かったり、ブドウ自体の個性やパワーが強いねんな。樽の影響にも負けへんから樽熟成との相性がいいんや。反対に、ライトボディのワインになるようなブドウ品種は樽の風味に負けてしまうから、ステンレスタンクで発酵・熟成されることが多いんやな。
フルボディとミディアムボディ/ライトボディとの違い
ここで、フルボディのワインとミディアムボディ・ライトボディのワインの違いを一旦まとめておきます。
ワインの要素 | フルボディ | ミディアムボディ | ライトボディ |
---|---|---|---|
渋味 | 強い | 中程度 | 控えめ 穏やか |
香り | 濃厚 複雑 | バランスが良い | 華やか 軽い、シンプル |
果実味 | コンポート ジャム ドライフルーツ | フレッシュフルーツ 熟したフルーツ | フレッシュフルーツ |
アルコール感/度数 | 強い/高い | 中程度 | 弱い/低い |
味の強さ・コク | どっしり重い パワフル | バランスが良い | 軽い あっさり |
フルボディだから良い、ミディアムボディ・ライトボディだから悪いというわけではなく、どれもワインの個性です。人それぞれ好みがありますので、ぜひ上の表を参考にして自分の好きなタイプのワインを探してみてください。
私はミディアムボディが好みなんですけど、これからはフルボディのワインも色々飲んでみたいです。でも、ワインの名前やボトルを見ても、どのワインがフルボディなのか分からないんですよね…。何か良い見分け方はありますか?
ありますよ!では次に、フルボディワインの見分け方を紹介しますね。
フルボディのワインの見分け方・判断基準は?
フルボディのワインを見分ける方法は、主に「ブドウ品種で見分ける」「ワイン産地で判断する」の2つです。
ワイン用のブドウには、果皮が厚くてタンニンが豊富な品種、つまり「フルボディのワインになりやすい」品種があります。これらの品種を覚えておけば、フルボディのワインを見分ける材料になります。
また、ワイン産地でもある程度の見分けがつきます。特にヨーロッパのワイン産地では、その産地で使用して良いブドウ品種が法律で決められていることも多いです。つまり、産地ごとにワインのスタイルがある程度決められているので、その産地を覚えておけばフルボディのワインを見分けることが可能です。
他にも、暑い地域のワインはブドウ糖度が上がりやすく、結果的に出来るワインのアルコール度数も高くなりがちです。冷涼な地域に比べて暑い地域のワインの方が、フルボディのワインである可能性が高いと言えます。
それではまず、フルボディのワインになりやすいブドウ品種から見ていきましょう。
フルボディのワインのブドウ品種
以下のブドウ品種のワインであれば、まずフルボディのワインだと考えて間違いないです。
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- メルロー
- シラー
- ジンファンデル
- ネッビオーロ
- アリアニコ
- マルベック
ただし、産地や生産者のスタイルによっては、これらの品種であってもミディアムボディぐらいのワインになることもあります。
フルボディのワインを生む産地
続いて、フルボディのワインを生む代表的な産地を紹介します。以下の産地のワインであれば、フルボディのワインであると判断して良いでしょう。
※( )内はその地方で造られるワインの代表的なブドウ品種です。
- フランス:ボルドー地方(カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー)
- フランス:コート・デュ・ローヌ地方(シラー、グルナッシュ)
- アメリカ:カリフォルニア州(カベルネ・ソーヴィニヨン、ジンファンデル)
- イタリア:ピエモンテ州(ネッビオーロ)
- イタリア:カンパーニャ州(アリアニコ)
- オーストラリア:マーガレットリヴァー、バロッサヴァレー、マクラーレンヴェール(シラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン)
- チリ(カルメネール、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー)
- アルゼンチン(マルベック)
これはあくまで一例です。世界には、まだまだたくさんのフルボディワインを生む産地がありますよ。
フルボディのワインに合う料理・おつまみ
フルボディの赤ワインは、お肉料理によく合います。
理由は、味が濃くて強いフルボディの赤ワインに同じく濃厚な味わいのお肉料理を合わせる方が、「相乗効果」が期待できるからです。ワインと料理の味の強さが釣り合っていないと、どちらかの味が台無しになってしまいます。
他にも、フルボディの赤ワインはタンニン(渋味)が豊富なため、お肉の脂をさっぱりと流してくれ、ついつい食が進むという理由もあります。
お肉の中でも、赤身肉(牛肉、羊肉、鴨肉、ジビエ)を使った料理がおすすめです。香ばしく焼き上げたステーキはもちろん、煮込み料理なども良く合います。
日本の料理であれば、濃くて甘い味付けの「すき焼き」はフルボディの赤ワインとの相性が抜群です。
簡単なおつまみであれば、チーズと合わせるのがベストです。どちらかといえば個性が強いチーズとの相性が良いでしょう。
例えば、「ロックフォール」などのブルーチーズや「エポワス」などのウォッシュタイプ、「パルミジャーノ・レッジャーノ」などのハードタイプなどがおすすめです。
白ワイン・ロゼワインにもフルボディはある?
フルボディの特徴や見分け方はよく分かったんですけど、ずっと赤ワインの話でしたよね?白ワインやロゼワインにはフルボディという表現は使わないんですか?
白ワインやロゼワインの場合、「ボディ」という表現を使いません。基本的には甘口〜辛口で表現します。ですから、「この白ワインはフルボディです」などと言うことはあまりないですね。
とはいえ、白ワインにも「フルボディ」の概念自体はあるで。味わいの表現としては使わないだけやな。
一般的に、フルボディと言える白ワインには以下のような特徴があります。
- 黄金色や麦わら色など、濃い色合いをしている
- ヴァニラ香やロースト香など、樽の風味が効いている
- アルコール感が高い
- 果実の凝縮感が強い(完熟した黄色いフルーツ、トロピカルフルーツなど)
- コクがあって酸味がまろやか、どっしり重い味わい
まとめ
最後に、ワインのフルボディについてまとめるで!
- ワインの「ボディ」とは「味の骨格」を表す言葉
- フルボディのワインを簡単に表現すると、「コクがあって濃厚、どっしり重い味わいのワイン」
- フルボディのワインはタンニン(渋味)が豊富
- フルボディのワインはアルコール度数が高い
- フルボディのワインは果実味の凝縮感が強い
- フルボディのワインは樽の風味が強い
- フルボディのワインは、「ブドウ品種」「ワイン産地」で見分ける
- フルボディのワインは赤身肉の料理や個性が強いチーズとの相性が抜群
- 白ワイン・ロゼワインは、基本的に「フルボディ」などではなく「辛口〜甘口」で表現する