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ワイン持ち込み料の相場は?BYOのメリットやマナー・注意点をソムリエが解説!

ぴのこ

今度、ワインの持ち込み(BYO)をしたいと思ってるんですけど、持ち込み料の相場ってどれくらいなんですか?

きむ

持ち込み料はお店によって異なるね。それと、ワインの持ち込み(BYO)にはいくつかマナーや注意点があるから、知っておいたほうが良いよ。

しょうさん

今回は、ワインの持ち込み料の相場や、マナー・注意点をソムリエが解説します。この記事を読めば、持ち込み料の相場だけでなく、ワインを持ち込んだときにお店側が快く対応してくれるポイントが分かりますよ。

目次

ワインの持ち込み(BYO)とは

ワインの持ち込みとは、自分で買ったワインを飲食店へ持ち込んで飲むことで、BYO(bring your own)とも言われます。

ワインの持ち込みの文化は、オーストラリアが発祥です。オーストラリアでは飲食店が酒類販売の許可を取るのが難しく、売上や集客に悩む飲食店が考え出したのがBYOのシステムだと言われています。「ウチはお酒を売れないから、好きなものを持ち込んで飲んでくれていいよ。その代わり料理をたくさん注文してね」という感じでしょうか。

日本においても、ワイン持ち込みOKのお店はたくさんあります。ただし、ほとんどのお店が「無料で持ち込みOK」ではありません。お店ごとに「ワイン1本につき〇〇円」など、持ち込み料が設定されています。

ワイン持ち込み料の相場

ワインの持ち込み料はお店の種類や格によって異なります。持ち込み料の相場は以下です。

お店の種類・格持ち込み料の相場
気軽なワインバーやビストロ1本につき1,000円〜3,000円
高級レストラン1本につき4,000円〜6,000円

ワインを持ち込む前に、持ち込み料がいくらなのかをお店に確認しておきましょう。

ワイン持ち込み(BYO)のメリット

ワインの持ち込みには、以下のようなメリットがあります。

  1. お店でワインを注文するよりも割安
  2. 自分の好きなワインが飲める
  3. ワインが最適な状態で飲める
  4. プロの料理と合わせてワインが飲める

①お店でワインを注文するよりも割安

ワインの持ち込みの最大のメリットは、お店でワインを注文するよりも割安でワインを楽しめることです。

仮に、あるワイン(小売価格50,000円)をワインショップで買って持ち込む場合と、レストランで注文する場合を比較して考えてみましょう。

購入価格持ち込み料合計
ワインを買って持ち込んだ場合50,000円6,000円56,000円
レストランで注文した場合122,500円115,000円
差額59,000円

一般的に、飲食店のワインの仕入れ値はだいたい「小売価格の6〜7掛け」が相場です。その仕入れ値に対して、原価率が30〜40%くらいになるように販売価格が決められています。

きむ

ショップで50,000円で売られているワインなら、飲食店は7掛けの35,000円くらいで仕入れてるね。仮にそのお店が原価率を約30%で価格設定しているとすれば、販売価格は115,000円。

ぴのこ

自分で買って持ち込み料を支払っても56,000円だから、同じワインをお店で注文するより59,000円もお得に飲める計算ね!

このように、ワインの持ち込みはコスト面で非常に大きなメリットがあると言えます。

②自分の好きなワインが飲める

自分の好きなワインをそのお店の料理とともに楽しめる点も、ワインの持ち込みのメリットです。

自分が行きたいお店に、自分の好きなワインが必ずしもあるとは限りません。お店に行ったものの、飲みたいワインがワインリストに無くてガッカリした経験がある方もいるのではないでしょうか。

例えば、カリフォルニアの濃い赤ワインが好きなのに、行きたいお店がフランスワインしかないお店であれば、楽しみも半減してしまうでしょう。そんな時に、自分の好きなワインが持ち込めるのは嬉しいメリットです。

③ワインが最適な状態で飲める

ソムリエがいる高級レストランであれば、持ち込んだワインが最適な状態で楽しめます。

ワインは温度やグラスによって味わいが大きく変わるお酒です。ワインを自宅で飲む場合、そのワインを飲むのにふさわしいグラスがあるとは限りませんし、そのワインを最適な温度にして飲むのは難しいでしょう。

ワインを持ち込んでソムリエにサービスを任せれば、そのワインが最も美味しく感じられるグラスをチョイスし、適切な温度管理のもと提供してくれるはずです。古いワインであれば、デキャンタージュして澱(熟成ワインに見られる沈殿物)を取り除いてサービスもしてくれます。

④プロの料理と合わせて好きなワインが飲める

プロが作る料理と合わせて好きなワインが飲めるのも、ワイン持ち込みのメリットです。自宅では料理のクオリティに限界があります。プロの料理人が作るような料理を用意するのは、まず不可能でしょう。

レストランにワインを持ち込めば、クオリティが高いプロの料理とワインが合わせられるため、楽しみが何倍にも広がります。お店によっては、持ち込むワインに合うスペシャル料理を用意してくれたりすることもあるでしょう。

ワイン持ち込み(BYO)のマナー・注意点

しょうさん

ここからは、ワイン持ち込みのマナー・注意点をソムリエが解説します。持ち込む側・お店側の双方が気持ち良く過ごすための大切なポイントなので、ぜひ知っておいてください。

大前提として、ワインの持ち込みはお店側からすれば嬉しいものではないことを知っておきましょう。

持ち込む側にとってはメリットが多いワインの持ち込みですが、お店側には特にメリットがありません。お店に来てもらえるのはありがたいことですが、本来あるはずのワインの売上が持ち込みによってなくなるわけですから、お店にとってはむしろデメリットの方が大きいと言えます。

ただし、持ち込む側が以下のマナー・注意点を守ることで、お店側も快く対応してくれるようになります。

  • 持ち込みワイン以外のワインも注文する
  • 予約時にワインを持ち込むことを伝える
  • 持ち込むワインは事前に預ける
  • 持ち込むワインは特別なものを
  • お店の格に合ったワインを持ち込む
  • 初めて行くお店への持ち込みは避ける
  • 同じお店に毎回持ち込むのは避ける
  • 貴重なワインはソムリエやシェフの分を残しておく

①持ち込みワイン以外のワインも注文する

ワインを持ち込む場合は、できればそのお店のメニューにあるワインも注文しましょう。これさえ守れば、お店側が快くサービスしてくれると言っても過言ではありません。

(持ち込み料を支払っているのだから、別にワインを注文する必要はない)と思われるかもしれませんが、上述のようにワインの持ち込みがお店にとっては売上減であることを忘れてはいけません。いくらワインの持ち込みOKだからといって、持ち込んだワインだけを飲まれてしまっては商売にならないでしょう。

赤ワインを持ち込んだのなら乾杯のスパークリングワインを、スパークリングワインや白ワインを持ち込んだのならメインに合わせて赤ワインを注文するなど、お店側への配慮も必要です。

しょうさん

少人数の場合は、追加でボトル1本注文となると飲みきれない可能性もありますので、グラスワインでも全然OKです。お店の飲料売上を任されているソムリエとしては、その心遣いが嬉しいものですよ。

②予約時にワインを持ち込むことを伝える

お店に来たお客様に突然「今日はこのワインを持ち込みで飲むからよろしく」と言われたら、お店側としてはあまり良い気分ではありません。ワインを持ち込む際は、予約時に必ず伝えておきましょう。

ワインの銘柄や本数なども、予約時に伝えておくと良いです。持ち込まれるワインの銘柄や本数が分かっていれば、お店側はグラスやその他の備品などをあらかじめ準備できます。

当日スムーズなサービスを受けるためにも、予約時にワインの持ち込みについて伝えておくのがベストです。

③ワインは事前に預ける

できれば、持ち込むワインを予約日の1週間前くらいにお店へ預けておくと良いでしょう。

古いワインには、澱(おり)が発生しています。このようなワインを当日お店に持って行くと、道中で瓶内の澱が舞ってしまい、口当たりが悪くなって美味しく飲めません。澱が舞わなかったとしても、移動時間の長さによっては振動でワインにストレスを与えてしまい、本来の味わいが楽しめなくなる可能性もあります。

また、夏の暑い時期にワインを持ち運ぶとワインの温度が上がってしまい、「お店に着いてすぐに飲みたいのに温度が下がるまで待たなければならない」なんてことにもなりかねません。

1週間前に預けておけば、ワインを立てて保存しておくことで澱を沈殿させられます。また、静かな環境でワインを休ませておけるため、当日に最適な状態で供出してもらうことが可能です。

④持ち込むワインは特別なものを

持ち込むワインは、なるべく特別なワインを選びましょう。

  • お店のワインリストにないワイン
  • 思い出のワイン
  • 生まれ年のワイン
  • 古い熟成ワイン
  • 入手困難なレアワイン など

どこにでも売っているようなデイリーワインや、お店のワインリストに載っているワインなどを持ち込まれると、お店側としては(わざわざ持ち込まずに、うちのワインリストから選んで飲んでよ…)と思うでしょう。

そのようなワインを持ち込んではダメというわけではありませんが、特別なワインであるほうがお店側も快く対応してくれます。

⑤お店の格に合ったワインを持ち込む

お店の格に合ったワインを持ち込むことも大切です。

お店の格に合っていないワインの持ち込み例としては、例えば「ソムリエなどのワインサービスに精通したスタッフがいないカジュアルなお店に、長期熟成の古い赤ワインを持ち込む」などでしょうか。

熟成ワインのサービスには、それなりの知識と技術が必要です。どのグラスで供出するかや、デキャンタージュ(澱とワインを分離させる作業)の要・不要などは、熟練のソムリエでなければ判断がつきにくいものです。ソムリエのいないお店にこのようなワインを持ち込んでも、まともなサービスは期待できません。

また、お店側もそんなワインを持ち込まれては困るはずです。スタッフの手に余るワインは、なるべく持ち込まないようにしましょう。

⑥初めて行くお店への持ち込みは避ける

絶対に守るべきマナーではありませんが、初めて行くお店への持ち込みはなるべく避けたほうが良いでしょう。

初めて来られるお客様にワインを持ち込まれると、お店側はあまり良い気がしません。対応はしてくれるものの、内心では(うちも美味しいワインを揃えてるんだから、初回はうちのワインと料理で楽しんでほしい)と思っているでしょう。

「郷にいれば郷に従え」と言う言葉があるように、初めて行った時はそのお店が勧める楽しみ方で楽しむのがお客側のマナーでもあります。初回はそのお店の料理とワインを十分に楽しんで、帰るときに(とても美味しかったのでまた来たいです。次回はワインを持ち込ませてもらっても良いですか?)と確認を取れば、お店側も快く承諾してくれるはずです。

⑦同じお店に毎回持ち込むのは避ける

美味しくて気に入ったお店には、好きなワインを毎回持ち込んで料理と楽しみたいと思うかもしれません。しかし、同じお店に毎回ワインを持ち込むのは避けたほうが無難です。こちらも上記⑥と同じく絶対的なマナーではありませんが、守ったほうがお店と長期的に良い関係が築けるでしょう。

持ち込みワインのサービスは、持ち込む側が想像している以上にお店側は神経を使います。毎回ワインを持ち込まれると、お店側は(また持ち込みワインをサービスしなければならないのか…)とウンザリしてしまいます。

その上、いつも持ち込みワインしか飲まないようであれば売上にもならないため、お店側からの印象は最悪です。最初はニコニコしながら対応してくれていたとしても、そのうちサービスに手を抜かれるようになるかもしれません。

いつ行っても良いサービスを受けられるように、同じお店へのワインの持ち込みは多くても「2〜3回に一度」くらいに留めておき、そのお店のワインも楽しむようにしましょう。

⑧貴重なワインはソムリエや料理人の分を残しておく

古いワインやレアワインなどの貴重なワインを持ち込んだ時は、後でソムリエや料理人がテイスティングできるように一杯分ほど残しておくのも粋なマナーです。

ソムリエや料理人の収入は、実はそれほど高くありません。自分で古いワインやレアなワインを購入してテイスティングするのは、なかなか難しいのです。そんなソムリエや料理人にとって、貴重なワインをテイスティングさせてもらえることは、何よりの喜びと経験になります。

しかし、どのようなワインが残しておくに値するのか判断するのは難しいでしょう。そんな時は、サービスしてくれたソムリエに(このワインは飲んだことありますか?)と聞いてみてください。ないと答えたのであれば、(よかったら後で飲んでください)と、一杯分ほど残してあげましょう。

まとめ

ワインの持ち込み料の相場は、カジュアルなお店は1,000円〜3,000円、高級レストランでは4,000円〜6,000円です。持ち込み料を支払ったとしても、お店でワインを注文するより格安で飲めるため、ワインの持ち込みは持ち込む側にとってメリットがある仕組みと言えます。

しかし、お店側の本音は「持ち込み大歓迎!」というわけではありません。そのため、お店側に快く対応してもらってベストなサービスを受けるためには、持ち込む側がマナーを守ることが大切です。

節度あるワイン持ち込み(BYO)で、ぜひワインライフを充実させてください。

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この記事を書いた人

・飲食店の勤務経験12年(うち、ソムリエ9年)
・日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
・C.R.D.O認定 公式ベネンシアドール
・2009年 JALUX WINE AWARD ファイナリスト

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