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ワインの種類には何がある?特徴や製法の違いをソムリエがわかりやすく解説!

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しょうさん

ぴのこさん、だいぶワインに詳しくなってきた頃だと思いますが、ワインの種類にはどんなものがあるか知っていますか?

ぴのこ

ワインの種類といえば、いつも飲んでる白ワイン、赤ワイン、スパークリングワインくらいしか知らないなぁ。それ以外にもあるんですか?

しょうさん

その3種類以外にも、実は様々な種類のワインが存在します。今日はそんなワインの種類について、ぴのこさんに伝授しようかなと思っています。

ぴのこ

よろしくお願いします!

目次

ワインの種類は大きく分けて4種類

ワインの種類には、大きく分けて以下の4種類があります。今回はそれぞれのワインの特徴や造り方、代表的なワインをご紹介します。

  1. スティルワイン(非発泡性ワイン)
  2. スパークリングワイン(発泡性ワイン)
  3. フォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)
  4. フレーヴァードワイン

❶スティルワイン(非発泡性ワイン)

スティルワインとは、炭酸ガスを含まない非発泡性のワインです。一般的に皆様がワインとして飲んでいるものは、このスティルワインにあたります。

代表的なスティルワインには、赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、オレンジワインなどがあります。

赤ワイン

赤ワインは黒ブドウから造られるスティルワインです。ワインの色が赤紫色なのは、ブドウ果汁だけでなく果皮も漬け込んで造ることによって、果皮の色素(=アントシアニン)が溶け出しているためです。

また赤ワインは種子も一緒に漬け込んで造られるため、果皮や種子から赤ワイン特有の渋味(=タンニン)が生まれます。一般的にタンニンが多い赤ワインほど、長期熟成に向いていると言われています。

白ワイン

白ワインは基本的に白ブドウ(果皮が緑〜黄色のブドウ)から造られます。白ワインは赤ワインのように果皮・種を漬け込まずに造るため、渋味のない軽い味わいのものが多いです。

「基本的に白ブドウから造る」と言ったのは、赤ワイン用の黒ブドウ(果皮が赤〜紫色のブドウ)でも白ワインを造ることができるためです。

先ほどお話したように、赤ワインの赤紫色は「黒ブドウの果皮」に由来しています。しかし、黒ブドウも皮を剥けば白ブドウと同じような果実があらわれます。この果実だけを搾れば白いブドウ果汁になり、白ワインが造ることができるのです。

そこまで種類は多くありませんが、世界には黒ブドウから造る白ワインもあります。

ロゼワイン

ロゼワインはピンク色のスティルワインです。ロゼワインの造り方は、大きく分けて3種類あります。

  • 直接圧搾法
  • セニエ法(血抜き法)
  • 混醸法

直接圧搾法

直接圧搾法とは、黒ブドウを皮ごとプレス(圧搾)した「ピンク色の果汁」を発酵してロゼワインを造る方法です。プレス時のわずかな色づきと果皮の成分抽出を利用するため、薄いピンクの色合いで渋味も控えめな軽い味わいのロゼワインとなります。

セニエ法(血抜き法)

赤ワインを造る工程の途中で、果汁が希望のピンク色になった段階で液体だけをタンク内から抜き取って発酵し、ロゼワインを造る方法です。タンクからピンク色の液体を抜き取る様子が血を抜いているように見えることから、血抜き法とも呼ばれます。

途中までは赤ワインの造り方と同じなので、濃いピンク色で渋味もややしっかりめに感じられるロゼワインに仕上がります。高品質なロゼワインの多くは、このセニエ法によって造られています。

混醸法

混醸法とは、黒ブドウと白ブドウを混ぜてロゼワインを造る方法です。具体的には、白ブドウと黒ブドウを混ぜて漬け込み、希望のピンク色になった段階で液体だけを抜き取って発酵させる方法です。

先にお話した「セニエ法」と似ていますが、セニエ法は原料が黒ブドウのみなのに対して混醸法では黒ブドウと白ブドウが原料です。

オレンジワイン

ワイン畑とオレンジワイン

白ブドウを原料に、赤ワインと同じような製法で造られたのがオレンジワインです。最近、オレンジワインを勧める飲食店は増えてきていますね。

一般的に白ワインを造る際は、白ブドウの果皮や種を取り除いて搾った透明なブドウ果汁を使用します。一方、赤ワインは黒ブドウの果皮や種子を漬け込んだ赤いブドウ果汁を使用します。

オレンジワインは、白ブドウの果皮や種子を漬け込んだブドウ果汁を発酵させます。そうすると皮や種子の成分や色素が溶け込んだオレンジ色のワインが出来上がります。

フルーティでアロマティックな白ワインと、赤ワインの渋味・苦味の両方を併せ持った独特の味わいのワインです。

ぴのこ

オレンジワインなんて知らなかった!今度飲んでみよう。

きむ

オレンジワインの起源はジョージアという国にあるんや。ジョージアは8000年も前からワイン造りをしていた国やな。

きむ

ジョージアでは、「クヴェヴリ」と呼ばれる陶器の中に白ブドウ果汁と果皮・種子を一緒に漬け込んで、それを土の中に埋めて発酵させてオレンジワインを造ってたんや。

きむ

でも、ジョージアが旧ソ連の支配下にあった影響で、ジョージアのオレンジワインが国際市場に出回ることはなかったんや。

しょうさん

そんな中、イタリアの「ヨスコ・グラヴナー」という生産者がジョージアワインに感銘を受け、1998年からオレンジワインを造り始めました。これが瞬く間にイタリアのワイン生産者の間で人気になり、今では世界中で造られるようになったのです。

きむ

一番ええところ持っていくやん。

オレンジワインについて詳しく知りたい方はこちら(新記事作成予定)

❷スパークリングワイン(発泡性ワイン)

ワインの種類の2つ目は、スパークリングワイン(発泡性ワイン)です。

炭酸ガスが入ったワインのことで、乾杯によく飲まれるシャンパン(=シャンパーニュ)が有名です。

ぴのこ

厳密には、スパークリングワインとシャンパンは違うものなんですよね?

きむ

ぴのこちゃん、実はスパークリングワインやのに「シャンパン美味しい〜」とか言うてたら恥ずかしいで。アホや思われてるで(笑)

しょうさん

こらこら…

シャンパン(シャンパーニュ)とスパークリングワインの違い

シャンパンはスパークリングワインの一種です。フランスのシャンパーニュ地方で「瓶内二次発酵方式」という伝統的な製法で造られたスパークリングワインのみ、シャンパン(=シャンパーニュ)と呼ぶことが許されています。

たとえ同じ瓶内二次発酵方式で造られたものであっても、シャンパーニュ地方以外のものをシャンパンと呼ぶことはできません。

シャンパンは、一般的なスパークリングワインとは比にならないほど手間とコストをかけて造られています。その分、値段も品質も高くなるのです。

ぴのこ

炭酸ガスの入ったワイン=シャンパンではないんですね。

スパークリングワインの製法

スパークリングワインには様々な製法があります。ここでは代表的なスパークリングワインの製法を簡単にご紹介します。

瓶内二次発酵方式

瓶内二次発酵方式とは、ワインを瓶に詰め、瓶の中で二回目の発酵を行なう製法です。フランスのシャンパン(=シャンパーニュ)が瓶内二次発酵方式で造られた代表的なスパークリングワインです。

ワインは、ブドウ果汁をアルコール発酵させて造られています。酵母がブドウ果汁の中の糖分をアルコールと炭酸ガスに分解するのがアルコール発酵です。(この際に生じた炭酸ガスは自然に蒸発します)

一度発酵させたワインを瓶に詰めて糖分と酵母を加え、瓶の中でもう一度発酵させることで炭酸ガスを発生させるのが瓶内二次発酵方式です。

この製法で造られたスパークリングワインは、非常に泡がきめ細かくて高品質なものになります。

ぴのこ

シャンパン以外にも、瓶内二次発酵方式のスパークリングワインはあるってことですか?

きむ

フランス国内だけでも、シャンパーニュ地方以外で瓶内二次発酵方式のスパークリングワインはたくさん造られてるで。それには「クレマン」て名前が付いてるわ。例えば、クレマン・ド・ブルゴーニュ(=ブルゴーニュ地方の瓶内二次発酵方式のスパークリングワイン)とかな。

しょうさん

その他、イタリアの「フランチャコルタ」、ドイツの「ゼクト」、スペインの「カヴァ」なども、瓶内二次発酵方式で造られたスパークリングワインです。

ぴのこ

じゃあ、シャンパン以外で高品質なスパークリングワインを飲もうと思えば、「クレマン」「フランチャコルタ」「ゼクト」「カヴァ」などを選べば間違いないってことですね!

シャルマ方式

瓶の中でワインを発酵させる瓶内二次発酵方式に対して、ワインを大きなタンクに入れて酵母と糖分を加え、タンク内で二次発酵させるのがシャルマ方式です。

フレッシュでフルーティーな味わいになる一方で、瓶内二次発酵方式のように複雑な味わいにはならず、繊細できめ細かい泡も発生しません。大量に生産できるため、比較的リーズナブルなスパークリングワインに適用される製法です。

ちなみにシャルマとは、この製法を考案した人の名前です。

トランスファー方式

瓶内二次醗酵方式の応用バージョンといった製法です。瓶内で造り出した炭酸ガスを含むワインを加圧化したタンクに入れ、冷却・ろ過を行ない、再度瓶に詰め変える方式です。

炭酸ガス注入方式

その名の通り、ワインに炭酸ガスを注入する製法です。自然に生じた泡ではなく外から入れた炭酸ガスなので、キメが荒いうえに炭酸がすぐに抜けてしまいます。こちらもリーズナブルなスパークリングワインに採用される方法です。

きむ

コーラとかの炭酸飲料をグラスに注いだら、大きな泡がグラスの内側に付着するやんか?炭酸ガス注入方式もあんな感じで、泡が大きいスパークリングワインになるで。

しょうさん

各ワインの製造工程について詳しく知りたい方は、「ワインの造り方」について詳しく解説したこちらの記事をご覧ください。

❸フォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)

フォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)とは、ワインにブランデーやスピリッツ(蒸留酒)などを加えてアルコール度数を高くしたワインのことです。

アルコール度数が高いため味わいにはコクがあり、また保存性にも優れているという特徴があります。代表的なフォーティファイドワインの種類には、以下のものがあります。

  • シェリー
  • ポート
  • マディラ
  • マルサラ
  • VDL
  • VDN

シェリー(ヘレス)

シェリーのボトル、シェリーが注がれたグラス

シェリーとは、スペインのアンダルシア地方で造られるフォーティファイドワインです。英語名のシェリー(sherry)の名称が一般的に知られていますが、スペイン語ではヘレス(Xeres)と呼ばれます。

この地方では、ワイン樽に入れたワインの上部にフロール(産膜酵母の一種)が発生します。このフロールが空気と触れるのを防いでワインを還元(酸素に触れない)状態で熟成させると共に、フロールの作用で独特の風味を持ったワインが出来上がります。

一方で、このフロールが発生しなかった樽のワインは、酸素に触れて酸化熟成されます。通常のワインだと酸化してダメになってしまうのですが、ブランデーなどを加えてアルコール度数を強化してあるシェリーは酸化熟成がプラスに作用し、茶色い独特の風味を持ったワインに仕上がります。

シェリーには辛口から極甘口まで様々なタイプがあります。

辛口のシェリーでは、フロールと共に熟成させたタイプの「フィノ」、酸化熟成させたタイプの「オロロソ」、途中までフロールと共に熟成し途中から酸化熟成させる「アモンティリャード」などが代表的です。

対して甘口のシェリーには、「モスカテル」や「ペドロ・ヒメネス」といった極甘口タイプがあります。また、これらの極甘口シェリーと辛口シェリーをブレンドして造る「クリーム」「ペールクリーム」「ミディアム」などの中甘口タイプがあります。

ポート

ポートワインとは、ポルトガルのポルトガル北部アルト・ドウロ地区で造られるフォーティファイドワインです。美しいルビー色・琥珀色をしていることから「ポルトガルの宝石」と呼ばれています。

しょうさん

日本には昔、「赤玉ポートワイン」というお酒がありました。これは甘い味わいがポートワインに似ていることから名付けられたお酒だったんですね。このことからも分かるように、甘口の赤ワイン=ポートワインといったイメージがありますが、実はポートワインにも様々な種類があります。

スタンダードタイプのポートには、赤色の「ルビー・ポート」や白色の「ホワイト・ポート」などがあります。どちらも3年ほどの熟成で出荷される、気軽に飲めるポートです。

スペシャルタイプのポートとしては、10〜40年の長い熟成期間を経て琥珀色になった「トウニー・ポート」や、ブドウの出来が良い年だけに造られ、20年ほど長期熟成された「ヴィンテージ・ポート」、同じくブドウの良い年だけに造られるが4〜5年の熟成で出荷される「レイトボトルド・ヴィンテージ・ポート」などがあります。

中でもヴィンテージ・ポートは最高級のポートで、1本数万円はするでしょう。ヴィンテージ・ポートは澱(オリ)と共に瓶詰めされており、飲む際は澱とワインを分離させるためのデキャンタージュが必要です。

ワインをデキャンタージュするソムリエ
デキャンタージュ

マディラ

マディラは、ポートワインと同じくポルトガルで造られるフォーティファイドワインです。料理に使用されることが多いので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

マディラは北大西洋に浮かぶ島「マディラ島」で造られます。発酵途中または発酵後に度数96%のブランデーを加えてアルコール度数を17〜22%に調整します。

マディラが他のフォーティファイドワインと決定的に違うは、ブランデーを加えてアルコール強化した後に加熱することです。それによって独特の香ばしい風味を持ったワインになります。

マディラの種類は、ブドウ品種名で分類されます。キレの良い酸味を持った辛口の「セルシアル」、燻製っぽい風味を持った中辛口の「ヴェルデーリョ」、香リ高い中甘口の「ボアル」、ねっとりとした質感の甘口「マルヴァジア」などが代表的なマディラです。

マルサラ

マルサラは、イタリア・シチリア島の最西端「マルサラ」で造られるフォーティファイドワインです。マルサラは先に紹介したシェリー・ポート・マディラとは全く異なる製法で造られます。

マルサラは以下の4つの材料を混ぜ合わせ、オーク樽で熟成して造られます。

  • 発酵が自然に止まるまで発酵させたワイン
  • ワインを蒸留したブランデー(酒精強化用)
  • ミステッラ:ブドウ果汁の発酵途中に②のブランデーを加え、発酵を止めて糖分を残した液体
  • モストコット:ブドウ果汁を煮詰めたもの

基本的には発酵前のブドウ果汁にアルコールを添加し、樽またはタンクで熟成して造られます。アルコール度数は16〜22%ほどになります。タイプとしては白・ロゼ・赤があります。

造られるワインは基本的に甘口ですが、残糖分によって「セッコ(辛口)」「セミ・セッコ(中辛口)」「ドルチェ(甘口)」など、呼び名が変わります。

きむ

フランスにも、「VDL」「VDN」っていう酒精強化ワインがあるで。酒精強化ワインについてもっと詳しく知りたい人は、酒精強化ワイン特集の記事を見てや!

❹フレーヴァードワイン

ワインの種類、4つ目はフレーヴァードワインです。フレーヴァードワインとは、果物やハーブなどで香りをつけたワインです。

ここでは主なフレーヴァードワインを紹介します。

ベルモット

ベルモットは、イタリアやフランスで造られるフレーヴァードワインです。白ワインをベースに、コリアンダーやニガヨモギ、ナツメグなどのハーブ・スパイスで香りをつけて造られます。

辛口のドライベルモットと甘口のスイートベルモットがあり、一般的には食前酒で飲まれることが多いワインです。他にも、カクテルの材料や料理のソースなどに使われることもあります。

サングリア

サングリアは、スペイン発祥のフレーヴァードワインです。ワインに果実やスパイスを漬け込み、ブランデーやハチミツなどを加えて造ります。ベースワインは白・赤・ロゼ、どれで造っても美味しいです。

しょうさん

フレーヴァードワインのカテゴリで紹介しましたが、どちらかと言えばワインカクテルのような感じですね。

レツィーナ

レツィーナは、ギリシャのフレーヴァードワインです。醸造工程で松脂(まつやに)を加えて造られるため、独特の変わった風味が楽しめます。

白とロゼがあり、ロゼは「コッキネリ」と呼ばれます。

リレ

リレとは、フランス・ボルドー地方で造られる甘口のフレーヴァードワインです。アカネ科に属する熱帯性の高木「キナ」の樹皮から抽出される「キニーネ」や、そのリキュールを加えて造られます。

リレには白ワインと赤ワインがあります。

ワインの種類 〜まとめ〜

しょうさん

最後に、ワインの種類についてまとめます!

  • ワインの種類は大きく分けて、スティルワイン(非発泡性ワイン)・スパークリングワイン(発泡性ワイン)・フォーティファイドワイン・フレーヴァードワインの4種類
  • スティルワインの種類には、白・赤・ロゼ・オレンジなどがある
  • スパークリングワインの種類は、瓶内二次発酵方式・シャルマ方式・トランスファー方式・炭酸ガス注入法など、製法で分類される
  • 代表的なフォーティファイドワインには、シェリー・ポート・マディラ・マルサラ・VDL・VDNなどがある
  • 代表的なフレーヴァードワインには、ヴェルモット・サングリア・レツィーナ・リレなどがある
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この記事を書いた人

・飲食店の勤務経験12年(うち、ソムリエ9年)
・日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
・C.R.D.O認定 公式ベネンシアドール
・2009年 JALUX WINE AWARD ファイナリスト

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