ワインの正しい注ぎ方ってあるんですか?私もソムリエさんみたいにカッコよくワインを注げるようになりたいと思ってるんですが、意外と難しくて…。
呼んだかな?ワインをカッコよく注ぐソムリエ選手権「西日本5位」の私を。
どんな選手権よ。しかも微妙な順位!
ぴのこさんの気持ちはよく分かります。友人同士でワインを飲む時なんかに、ワインを上手に注げたら嬉しいですよね。では今回は、ワインの正しい注ぎ方や、注ぐ時のマナー・注意点を解説しましょう!
ワインの注ぎ方にもマナーがある?
ワインの注ぎ方に決まったマナーはありません。ソムリエなど飲食業に従事する方であれば守るべきマナーもありますが、そうでない方は自由に注いでもらって問題ないです。
マナーがないとはいえ、きれいに見える注ぎ方、上手に見える注ぎ方というものはあります。今回はそのポイントについて解説します。
ワインの正しい注ぎ方 〜5つのポイント〜
ワインの正しい注ぎ方のポイントは、以下の5つです。
- ボトルの底を持つ
- エチケット(ラベル)はゲストに見えるよう上向きに
- グラスの3分の1が目安の量
- ゆっくり静かに注ぐ
- 瓶口をトーション(ナプキン)などで拭ってからボトルを持ち上げる
①ボトルの底を持つ
ワインを注ぐ時は、基本的には片手で瓶の底を持ちます(写真参照)。
ボトルの底の持ち方には、底にある「窪み」に親指を入れて残りの4本指で底部を掴む方法と、5本の指で底部を掴む方法があります。どちらでも良いのですが、前者の持ち方は不安定なのであまりおすすめしません。5本の指でしっかりと持つ方が良いでしょう。
片手でボトルの底を持つのが難しい場合は、両手で持っても構いません。片方の手でボトルの底を持ち、もう片方の手でボトルの中部またはネックの部分を支えると良いでしょう。
また、以下の写真のようにボトルの側面を掴むように持ってもOKです。
②エチケット(ラベル)はゲストに見えるよう上向きに
ワインを注ぐ時は、注がれる人から見えるようにエチケット(=ラベル)を上向きにして注ぎます。ワインを注がれる人が、エチケットを見ることでそのワインが何なのか分かるようにするためです。
また、瓶口からワインの雫が垂れてエチケットを汚してしまわないようにする目的もあります。
③グラスの3分の1が目安の量
ワインは、グラスの3分の1ほどの量を目安に注ぎます。ワイングラス内に香りを溜められる空間を確保することで、香りを感じやすく・楽しみやすくするためです。
また、3分の1の量にすることで、ワインを空気に触れさせるためにグラスをくるくる回す「スワリング」がしやすくなります。ワイン愛好家の中には、スワリングすることを好む方も多いです。
3分の1という量は、あくまで一般的な大きさのワイングラスに注ぐ場合です。大ぶりのグラスの場合は3分の1も注ぐと多いため、5分の1から4分の1くらいの量に注ぐ必要があります。
④ゆっくり静かに注ぐ
基本的に、ワインはゆっくりと静かに注ぎます。非常に繊細な飲み物であるワインを勢いよく雑に注ぐと、香りや味わいが損なわれてしまう場合があるためです。
グラスの上2〜3cmの位置から、丁寧に注ぐようにしましょう。
ただし、まだ閉じている印象のワインは、あえて勢いよく泡を立てるように注いで空気に触れさせ、味や香りを開かせる場合もあります(=エアレーション)。
⑤瓶口をトーション(ナプキン)などで拭ってからボトルを持ち上げる
ワインを注ぎ終えたタイミングで、瓶口をトーション(ナプキン)などで拭ってからボトルを持ち上げるようにします。そのまま何もせず持ち上げてしまうと、瓶口に付着していたワインの雫が垂れ落ちて、衣服やテーブルを汚してしまう恐れがあります。
トーションがない場合は、ボトルを軽く捻りながら持ち上げるようにします。具体的には、ワインを注ぎ終えたら、ボトルの角度を少し上げて(元に戻して)一旦停止し、手首を内側に捻りながらボトルを縦に起こします。こうすることで、ワインの雫が垂れ落ちるのを防げます。
スパークリングワインの注ぎ方
スパークリングワインを注ぐ時も、「ボトルの底を持つ」「ゆっくり静かに注ぐ」「トーションで瓶口を拭う(もしくは軽くボトルを捻って持ち上げる)」などのポイントは同じです。
ただ、スパークリングワインは注いだ途端に泡が発生するため、グラスから溢れてしまわないように2段階で注ぐ必要があります。
1段階:グラスの8分目くらいまで注ぎ、泡立ちが落ち着くのを待つ
2段階:泡立ちが落ち着いたら、泡が立たないようにゆっくり静かに注ぐ(グラスの4分の3の量を目安に)
慣れてきたら、泡を落ち着かせるのと注ぐのを同時進行しながら、ワインを溢れさせることなく1回で注げるようにもなるで。それができたらプロ顔負けや。
ワインの注ぎ方で気をつけるべきこと
基本的なワインの注ぎ方が分かったところで、いくつか気をつけるべきことを挙げてみます。
ワインを注ぐ順番
5〜6名など複数人でワインを飲む時は、注ぐ順番に注意しましょう。基本的にはレディーファーストで、女性が複数名いる場合は年長者から順に若い人へと注いでいきます。
ただし、その日のメインゲスト(=主役)が分かっている場合は、男性であろうが若い女性であろうが、メインゲストから注ぎます。メインゲストを注ぎ終わったら、あとはレディファーストで年長者から注いできましょう。
ワインを注ぎ足すタイミング
ワインを注ぎ足すタイミングも注意が必要です。フランス式マナーではグラスが空になる前、つまりグラスにまだワインが少し残っているタイミングで注ぎ足すのが良いとされています。一方、イギリス式マナーでは、グラスが空になってから注ぐべきとされています。
どちらでも良いと思いますが、ソムリエとしてはグラスが空になる前に注ぎ足すフランス式マナーをおすすめします。日本人の場合、グラスが空になる前に注がないと「気が利かないな」と思われてしまうこともあるためです。
友人同士の飲み会などの気軽な場では、そこまで気にする必要はありませんので、自分の好きなタイミングで注ぎ足してあげると良いでしょう。
余談やけど、いつもボトルワインを注文するお客様で「1杯ずつ香りの変化を確かめたいから、グラスが空になったら新しいグラスに次の一杯を注いでほしい」ってこだわりの強い方もおったな。お一人でグラス6個も使ってはったわ。
グラスの飲み口部分にボトルを当てない
ワインを注ぐ時は、グラスの飲み口部分にボトルを当てないよう、グラスの2〜3cm上から注ぐようにしましょう。グラスの飲み口部分にボトルが当たると、衝撃で欠けたり割れたりする危険性があるためです。
特に高級なワイングラスは、飲み口部分がとても薄く作られています。少しの衝撃で欠けてしまうこともあるため、注意が必要です。
基本的には男性が注ぐ
ワインは基本的に男性が注ぎます。これはレディーファーストの観点からです。
女性にとっては、ワインのボトルと言えど重いものです。友人同士のホームパーティーや、スタッフが注がないスタイルのお店でワインを飲むときは、男性が率先して注ぐようにしましょう。
女性は、男性に注ぐことをお任せして問題ありません。日本の古い慣習では「女性がお酌するもの」という考えがありますが、国際的なマナーでは女性がお酒を注ぐことは好ましくないとされています。
むしろ女性は、自分で注がないことがマナーと言えます。
レストランでは自分で注がない
ソムリエやウェイターがワインをサービスするような高級レストランでは、自分でワインを注ぐのはマナー違反とされています。
そうならないように、スタッフ側が気づいてこまめに注ぎ足すべきではありますが、万一グラスが空になって気づかれない場合でも自分で注いではいけません。ソムリエやウェイターに目配せや手を挙げるなどの合図を送り、注いでもらうようにしましょう。
まとめ
- ワインを注ぐ時は、片手でボトルの底を持つ。
- 不安定な場合は「両手で持つ」「ボトルの側面を掴んで持つ」などでもOK。
- エチケット(ラベル)がゲストに見えるよう上向きにして注ぐ。これには、ワインが垂れてエチケットを汚さない目的もある。
- 注ぐ量はグラスの3分の1を目安に。ただし、大きいグラスの場合は4分の1〜5分の1ほどにする。
- 注ぎ終えたら、瓶口をトーション(ナプキン)などで拭ってからボトルを持ち上げる。
- トーションやナプキンがない場合は、ボトルを軽く捻るようにしてからボトルを持ち上げる(瓶口のワインが垂れないように)。
- スパークリングワインは2段階で注ぐ。1段階目はグラスの8分目ほどまで注ぎ、泡立ちが落ち着いてから2段階目でゆっくりと静かに注ぐ(グラスの4分の3ほどが目安)。
- ワインを注ぐ順番はレディーファースト。女性が複数名いる場合は年長者の女性から。
- ワインは基本的にグラスが空になる前に注ぎ足す(フランス式マナー)。
- グラスの飲み口部分にボトルを当てないようにする(衝撃で欠けたり割れたりするため)。
- ワインは基本的に男性が注ぐ。国際マナー上、女性が注ぐのは好ましくないとされている。
- 高級レストランでは、自分で注がない