ワイン飲もうって友達を誘ったら、「ワインはまずい、どこが美味しいのか分からない!」って全否定されたんです。ちょっと悲しくなっちゃって…。
味覚なんか人それぞれ違うんやから、ワインをまずいと思う人がいて当然やろ。何を悲しくなる必要があるんや。
確かにそうですが、ソムリエとしてもちょっと悲しいです。ワインの本当の美味しさを知ってもらいたいというのが本音ですね…。
それは僕も同意見やで。ほな今回は、「ワインがまずい」と言う人たちに向けて、理由や美味しいと感じてもらえる飲み方を考察してみよか!まずいと決めつける前に、まずはこの記事を読んでみてや!
ワインがまずいと思うのはおかしい?
ワインがまずいと思うのは、何もおかしいことではありません。冒頭で申し上げたように、味覚は人それぞれです。ワインを美味しいと思う人がいれば、まずいと思う人もいて当然でしょう。
ただ、ちょっと待ってください。ワインがまずいと思っている方は、もしかして1度や2度ワインを飲んで「まずい!」と判断していませんか?もしそうなら、まだ美味しいワインに出会っていないだけの可能性があるため、非常にもったいないです。
世間には、ワイン愛好家と呼ばれる人たちがたくさんいるのも事実です。それだけワインが人を惹きつけるものであるならば、実はまだあなたが気づいていない美味しさや魅力があると思いませんか?
何回飲んでもまずいと思うのであれば、それは仕方ないでしょう。しかし、それほど飲んだ経験がなくてまずいと思っているのであれば、きっと美味しさに気づけるはずです。
なぜワインがまずいと思うのか。まずは、考えられる理由をソムリエ視点で挙げてみよか!
ワインがまずいと思う理由
ワインがまずいと思う理由は、そもそもの「嗜好の問題」か、「過去に飲んだワインの問題」のどちらかだと推測されます。ソムリエとしては、以下の理由が考えられます。
- そもそもワインの味が好きではない
- ワインを飲んだシチュエーションが良くなかった
- たまたま飲んだワインが好みの味ではなかった
- ワインが飲み頃ではなかった
- ワインの温度が適切ではなかった
- ワインに欠陥があった
❶そもそもワインの味が好きではない
お酒は好きだけど、ワインの味がどうしても苦手という方はいます。こればかりは、どうしようもありません…。
チューハイやカクテルなど、ジュースのようにゴクゴク飲めるお酒の味が好きであれば、そもそもワインが口に合わない可能性は大いにあります。
ワインのアルコール度数は、平均12〜15度ほどあります。明確にお酒の味がするため、お酒をそれほど飲み慣れていない方からすれば、キツイ味に感じられるでしょう。
加えて、他のお酒とはちょっと違う質の「酸味」や、他のお酒には無い「渋味」がワインにはあります。特に渋味は、舌や歯茎がキュッと締まる独特の感覚になるため、美味しくないと思う方もいるでしょう。
確かに、20歳になってお酒を飲み始めた頃は赤ワインの渋味が苦手で、「ワインってまずいな〜」と思ってたわ。
❷ワインを飲んだシチュエーションが良くなかった
ワインがまずいと思う方は、過去にワインを飲んだときのシチュエーションが良くなかった可能性もあります。
ワインに限らず、味覚というのはシチュエーションで変わるものです。例えば、大好きな恋人や友人と過ごす楽しい時間であれば、何を食べても飲んでも美味しく感じることでしょう。
一方で、嫌いな上司との飲み会や、取引先との商談など緊張感があるシチュエーションでは、ワインを味わうどころではありません。怒っているときや悲しい気持ちのとき、ヤケクソになってお酒を飲むようなシチュエーションなどでも同様です。何を食べても飲んでも美味しくない、むしろ味がしない、くらいの経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ワインは楽しいシチュエーションで飲むことで、より美味しいと感じられるものです。
❸たまたま飲んだワインが好みの味ではなかった
ワインを飲んだ回数が少ない場合は、たまたま飲んだワインが好みではなかったのかもしれません。
ワインには様々なタイプがあります。白ワインなら、甘辛度だけでも辛口・中辛口・半甘口・甘口・極甘口がありますし、酸味が強いフレッシュ&フルーティーなタイプもあれば、樽の香ばしい風味が感じられるこくまろタイプもあります。
赤ワインなら、渋味が強くてどっしり重いタイプもあれば、渋味が穏やかで軽くてフルーティーなタイプもあります。
何度かワインを飲んだだけで、自分の好みの味に出会うのはなかなか難しいです。しかし、好みの味のワインに出会えれば、まずいというイメージは180度変わる可能性があります。
❹ワインが飲み頃ではなかった
まずいと思ったワインが、実は長期熟成向けに造られていたワインで、まだ飲み頃を迎えていなかった可能性もあります。
ワインには、「早飲みタイプ」と「長期熟成タイプ」があります。早飲みタイプは、リリースされてすぐに美味しいと感じられるタイプです。一方の長期熟成タイプは、10年〜30年ほど瓶内で熟成させることで、真価を発揮します。
長期熟成タイプのワインは、若いうちに飲むと以下のような特徴があるため、早飲みタイプほど美味しく感じられません。
- 香りが開いていない(あまり感じられない)
- 酸味が強い、荒い
- 渋味がザラつく、キメが粗い
- 全体のバランスが取れてない
- 味わいが調和していない
しかし、長期熟成させることで、早飲みタイプでは決して味わえないほどの素晴らしいワインに変貌を遂げます。
高級なワインほど、長期熟成向けに造られている場合が多いです。実は長期熟成タイプだった高級ワインを若いうちに飲まされてしまい、「まずいな…」と感じた方も一定数いらっしゃるのではないでしょうか。
❺ワインの温度が適切ではなかった
ワインは、温度によって味わいが大きく変わります。もしかしたら、適切な温度で提供されなかったがゆえに、ワインをまずいと感じてしまったのかもしれません。
例えば白ワインの場合、温度が高すぎると酸味がぼやけて締まりのない味わいになってしまいます。赤ワインを冷やしすぎると、香りが全く感じられなくなるうえに、酸っぱくて渋い味になってしまいます。
適切な温度で飲めば、まずいと思っていたワインを美味しいと思う可能性もゼロではないでしょう。
❻ワインに欠陥があった
まずいと感じたワインが、欠陥品だった可能性も否定できません。ワインの欠陥には、主に以下のものがあります。
- 保存状態が悪い(欠陥とまではいかないが、フレッシュが失われているなど本来の味わいではない状態)
- 酸化(酸っぱい、お酢のようなツンと鼻にくる刺激臭)
- コルク臭(コルクの洗浄不足が原因。雑巾や湿ったダンボールのようなカビ臭)
- 還元臭(醸造過程で酸素が足りず、酵母が発生させてしまった不快な香り。腐った卵、硫黄のような香り)
これらのワインに当たる可能性はそれほど高くはありませんが、100本飲めば2〜3本くらいは当たります。もし欠陥ワインを飲んでいたのだとしたら、まずいと感じてしまったのも無理はないでしょう。
ワインをまずいと感じてしまう理由って、こんなにたくさんあるんですね。
たまたま運悪く美味しいワインを飲んでこなかっただけかもしれないので、「ワインはまずい」と決めつけてしまうのはちょっともったいない気がしますね。
次からは、数々の「ワインはまずい派」の人たちを「ワイン大好き派」に変貌させてきた僕が、ワインの美味しさに目覚める飲み方を解説するで!
ワインの美味しさに目覚める(かもしれない)飲み方のススメ
ワインはまずいと思っている方は、騙されたと思って次に紹介する飲み方を試してみてください。100%の保証はできかねますが、ワインを美味しいと思ってもらえる可能性は高いです。
- いろいろな種類のワインを試してみる
- ワインの専門店で飲む
- ワインに詳しい人と飲む
- 料理と合わせて飲む
- 思い切って高級ワインを飲んでみる
❶いろいろな種類のワインを試してみる
飲まず嫌いを一旦やめて、いろいろな種類のワインを飲んでみましょう。
「ワインはまずい」と思う理由の一つに、好みの味のワインに出会っていないだけというものがありましたね。いろいろな種類を飲んでみることで、美味しいと感じるワインが見つかる可能性はかなり高いです。
また、「ワインはまずいと思っているわけではないけど、自分の好みの味が分からないから飲まない」という方も、まずはたくさんの種類のワインを飲んでみることです。きっと、「自分はこういう味のワインが好きなんだ!」と発見できるはずです。
❷ワインの専門店で飲む
ワインバーやレストランなど、ワインを専門的に扱っているお店でワインを飲むこともオススメです。専門店であれば、良い状態でワインが保存・管理をされています。最適な温度で、そのワインの美味しさを最大限に引き出してくれるグラスで提供してくれることでしょう。
ソムリエがいるお店であれば、欠陥ワインをそのまま飲ませるようなことはありません。万一ワインが欠陥品であった場合は、無償で取り替えてくれます。
ベストの状態でワインを飲めば、美味しさに目覚めるかもしれません。
❸料理と合わせて飲む
ワインは単体で飲んでも十分美味しいのですが、料理と合わせることでその美味しさは倍増します。
料理とワインの最高の組み合わせ(マリアージュ)を経験すれば、ワインはまずいと思っていた方もきっと美味しさに目覚めるはずです。
❹ワインに詳しい人と一緒に飲む
ワインに詳しい人と一緒に飲めば、ワインを美味しいと思える可能性が高いです。
知り合いにソムリエなどがいれば、ぜひ一緒にワインを飲んでみてください。なんとなく味の好みを伝えれば、ベストなワインをチョイスしてくれるに違いありません。
料理との相性も考えながらワインをチョイスしてくれるため、今まで感じたことのない美味しさを知る機会になるかもしれません。
「ワインはまずい」と思ってた人たちがワイン好きになるパターンは、だいたいこれやな。
❺思い切って高級ワインを飲んでみる
ワインがまずいと思っている方は、もしかしたらリーズナブルなワインが口に合わないだけかもしれません。一度、思い切って高級ワインを飲んでみてはどうでしょうか。
ワインの美味しさは値段で決まるわけではありませんが、高級ワインはさすが高級なだけあって、やはり素晴らしい味わいであることは間違いありません。
「安いワインは美味しくないけど、高級ワインは美味しくて好きです」という方は、意外と多いものです。そして面白いことに、そのような方は次第に高級ワインの味に飽きて、安くて美味しいワインを探し始めるようになります。
そして最終的には、ワインそのものが大好きになっているのです。まずは高級ワインから入ってみるのも良いかもしれません。
ソムリエになったばかりの頃、実家へ帰るときにお土産で1本15,000円〜20,000円ほどの高級ワインを2本買って帰ったんや。日頃から「ワインは好きじゃない」って言ってた母親と姉が、「これは美味しいわ!」って2本ともゴクゴク飲みよった。人間なんてそんなもんや…(笑)。
まとめ
「ワインはまずい」と思っている方は、本当に美味しいワインにまだ出会っていないだけかもしれません。
ワインの美味しさは、人生を少しだけハッピーにしてくれます。まずいと決めつけてしまう前に、今回ご紹介した飲み方をぜひ試してみてください。
一人でも多くの方に、「ワインはまずい」から「ワインは美味しい!」へと変化してもらえることを願っています。