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ワインに氷を入れるのは邪道?マナー違反かどうかはシチュエーション次第!ソムリエの本音も紹介!

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ぴのこ

あー美味しい!私、ワインに氷を入れて飲むのが好きなんですよね。

きむ

ぴのこちゃん、ワインに氷を入れるのは生産者さんに失礼やで。しかもソムリエである僕の目の前でそんなことをするなんて、マナー違反や!

ぴのこ

そんなに怒らなくても…。そもそも、ワインに氷を入れるのはマナー違反なの?

しょうさん

ワインに氷を入れる行為については賛否両論ありますね。今回は「ワインに氷」について考察してみましょうか。最後にはソムリエの本音も語ります。

目次

ワインに氷を入れるのはマナー違反?

ワインに氷を入れるのがマナー違反かどうかについては、ワイン生産者やソムリエの間でも意見が分かれるところです。結論としては、「マナー違反になるかどうかはシチュエーションによる」と言えます。

氷を入れること自体は悪いことではありませんが、時と場合によるといったところでしょうか。

一般のワイン愛好家やお酒好きの皆様の中には、「ワインに氷を入れるのが好き」という方が一定数いるようです。

そもそも、なぜワインに氷を入れることがあるのでしょうか?

ワインに氷を入れる理由

ワインに氷を入れる理由は、主に以下の3つだと考えられます。

  1. ワインを冷たくして飲みたいから
  2. アルコール度数を下げたいから
  3. 氷を入れる方が美味しく感じるから

❶ワインを冷たくして飲みたいから

ワインに氷を入れる理由として最も多いのが、冷たい温度でワインを飲みたいというものです。

「お酒がぬるいのは嫌だ」という人は多いです。ワインはグラスに注ぐと同時に、徐々に温度が上がり始めます。最後まで冷たいままで飲みたいのであれば、氷を入れて飲むという選択にもなるでしょう。

きむ

たしかに冷たいまま飲めるかもしれんけど、氷が溶けて味が薄くなるやんか。同じ酒飲みとして理解に苦しむわ。

しょうさん

こらこら…。

❷ワインのアルコール度数を下げたいから

続いての理由は、ワインに氷を入れてアルコール度数を下げたいというものです。これは「たくさんワインを飲みたい人」、または「職業柄たくさんお酒を飲まなくてはならない人」に多く見られる理由です。

他にも、「お酒に強くないけどワインを飲みたいから氷を入れる」という方もいらっしゃるでしょう。

ワインに氷を入れれば、時間の経過ともに氷が溶けてお酒が薄まり、結果的にアルコール度数が下がります。普通にワインを飲むよりも飲める量は増えますし、酔いが回るスピードも遅くなります。

特に夜のお店などで、お酒をたくさん飲むことを要求されるけど酔いつぶれるわけにはいかない接客業の方は、シャンパンやワインに氷を入れて飲む傾向があります。

きむ

酔いたくないからワインに氷を入れる?じゃあ、そもそもワインを飲まなかったらええやろ。ミルク入れてあげよか?

しょうさん

君は本当にソムリエですか…。

❸氷を入れる方が美味しく感じるから

ワインに氷を入れる理由の3つ目は、「氷を入れる方が美味しく感じる」というものです。

たしかに夏の暑い日に屋外でワインを飲むときや、お風呂上がりで喉を潤したいときなどに、氷を入れたワインはとても美味しく感じられます。

また、赤ワインの渋味が苦手な人が、なんとなく氷を入れたほうが美味しいという理由で氷を入れて飲む場合もあります。赤ワインに氷を入れると酸味が強くなり、その分だけ渋味の感じ方が柔らかくなって美味しく感じられるのです。

実際、居酒屋などでも「かちわりワイン」と称した氷入りのワインが提供され、市民権を得ています。このことからも、氷を入れたワインが美味しいと感じる人たちは一定数いると考えられます。

きむ

まぁ、この理由なら理解はできるわ。それでもワインに氷を入れるのは絶対に許さんけどな。

しょうさん

頑固ですね…。

ぴのこ

柔軟性に欠けた頑固ソムリエは無視しましょう。最初に、ワインに氷を入れるのがマナー違反になるかどうかはシチュエーションによるって言ってましたよね?

ワインに氷を入れても良いシチュエーション

ワインに氷を入れてもマナー違反にならないシチュエーションとしては、自宅や友人・知人との集まりなどの「プライベートな場」や屋外のバーベキューなど「カジュアルな場」、「海外」が挙げられます。

自宅で自分一人が飲むの場合は、マナーなど気にする必要は全くありません。自分が好きな飲み方でワインを飲めば良いでしょう。

また、友人・知人など親しい人たちで集まってホームパーティーなどをする場合も、特に気にする必要はありません。むしろ、ワインに氷を入れて飲みたい人がいることも想定して、氷を用意しておいてあげるくらいの気遣いが喜ばれます。

屋外で楽しむバーベキューなどの場も、ワインを氷に入れて楽しめるシチュエーションです。特に夏の暑い日などは、白ワインやロゼワインに氷を入れて飲むと大変美味しく感じられます。カジュアルな場なので、それをマナー違反だと思う人はまずいません。

海外に行けば、ワインに氷を入れて飲んでいる光景はよく見かけられます。実際に南フランスの方では、ロゼワインに氷を入れて楽しむ人はたくさんいます。ワインに氷を入れて飲む文化が当たり前の場では、自分が同じことをしてもマナー違反とはならないでしょう。

ワインに氷を入れない方が良いシチュエーション

ワインに氷を入れない方が良いシチュエーションは、大人数の公式的なパーティーの場です。

世の中には、ワインに詳しい人やマナーに厳しい人たちがたくさんいます。そのような人たちの中には、ワインに氷を入れることを快く思っていない人もいるでしょう。参加人数が多い場ではネガティブに捉える人の数も多い可能性があるため、ワインには氷を入れない方が無難です。

また、少人数のカジュアルなパーティーであっても、誰かが差し入れてくれたワインには氷を入れない方が良いでしょう。差し入れてくれた人は、もしかしたら氷を入れずに飲んで欲しいと思っているかもしれません。

加えて、もしそれが高級ワインだった場合、素晴らしいワインであるにもかかわらず周りの人が、「氷を入れて飲むということは、あまり良いワインではないのかな?」と思ってしまう可能性もあります。

差し入れてくれた人の顔を潰さないように、氷は入れないのがベストです。もしどうしても入れたい場合は、一言確認する方が良いでしょう。

ソムリエがいるような高級レストランでも、ワインに氷を入れるのは控えた方が良いです。

高級レストランのワインは、ソムリエがしっかり温度管理してベストなコンディションで提供されます。また、料理との相性も考えぬいて提供されていることでしょう。そのワインに氷を入れることは、寿司屋で出されたお寿司にソースをかけて食べるのと同じくらい、職人を全否定してしまう行為です。

もちろん、マナーとはルールではありませんので、どのようなシチュエーションであってもワインに氷を入れるかどうかは個人の自由と言えます。ただ、マナーというのは他人を不快にさせないためにあるものなので、上記のようなシチュエーションでは少し配慮することをおすすめします。

氷を入れることで美味しく飲めるワイン

ワインに氷を入れて飲みたい場合は、以下のワインをおすすめします。

  1. ロゼワイン
  2. 専用のシャンパン
  3. 甘口の白ワイン

ロゼワイン

ロゼワインは、氷を入れても美味しく飲めるワインです。フランスには、「ロゼ・ア・ラ・ピシーヌ(=プールでロゼ)」といって、ロゼワインに氷を入れて飲む文化があると聞きます。

氷を入れるなら少し甘口のロゼワイン良いのがでしょう。1,000〜2,000円ほどのリーズナブルなデイリーワインで楽しむのがおすすめです。

専用のシャンパン

氷を入れて飲むために造られたシャンパンがあるのをご存知ですか?

モエ・エ・シャンドン社の「アイス・アンペリアル」というシャンパンです。氷を入れることで果実味の爽やかさ・華やかさが強調され、ちょうど良い味わいになるように計算して造られています。

甘口で爽やかな喉越しが楽しめるこのシャンパンは、夏のプールサイドやバカンスに最適です。

甘口の白ワイン

甘口の白ワインも、氷を入れて美味しく飲めます。

氷を入れてから時間が経つと、辛口ワインは水っぽくなって味がぼやけてしまいがちです。しかし甘口ワインは、ワイン自体の粘性が高いため水っぽくなりにくいうえに、強い甘味のおかげで味の輪郭もハッキリしたまま楽しめます。

たとえば、フランス・ボルドー地方の貴腐ワイン「ソーテルヌ」や、ドイツの「アイスワイン」、ハンガリーの「トカイワイン」などは、氷を入れても美味しい甘口ワインの代表です。他には、日本のデラウェアから造られた甘口ワインも美味しいでしょう。

しょうさん

甘口の白ワインは高級なものが多いので、氷を入れてしまうのはちょっともったいない気もしますけどね。

ワインに氷を入れることについて、ソムリエの本音

最後に、当サイトの運営者かつソムリエとして、ワインに氷を入れることについて考えを述べます。

私個人としては、ワインに氷を入れることに反対ではありませんし、マナー違反だとも思いません。ただ、「できることなら、氷を入れずに飲んでいただきたい」と思っています。

私がホテルレストランのソムリエをしていた頃、お客様が高級ワイン・高級シャンパンに氷を入れて飲まれるたびに、とても複雑な気持ちでした。「お客様の要望に応えるのが勤めである」というホテルマンの感情と、「氷など入れずに素晴らしいワインをそのまま味わってほしい」というソムリエの感情のジレンマに陥っていたからです。

ワインは、ブドウの栽培から収穫・醸造・販売まで、ワイン生産者の並々ならぬ努力の結晶で生まれたお酒です。加えて、それぞれのワイン生産者に歴史があり、そのワインが生まれたストーリーがあります。

ソムリエの仕事は、ただワインを提供することではなく、生産者の思いやストーリーも一緒に届けることだと思っています。だからこそ、氷を入れて味が変わってしまったワインではなく、生産者が本来届けたかった味をそのまま飲んでいただきたいです。ただこれは、ソムリエのエゴかもしれませんね。

まとめ

しょうさん

最後に、ワインに氷を入れることについてまとめます!

  • ワインに氷を入れるのが好きな人は一定数いる
  • ワインに氷を入れることがマナー違反かどうかはシチュエーション次第
  • ワインに氷を入れても良いシチュエーションは、「自宅」「友人・知人とのホームパーティやバーベキュート」「海外」など
  • ワインに氷を入れない方が良いシチェーションは、「大人数のパーティー」「差し入れのワイン」「ソムリエがいる高級レストラン」など
  • 氷を入れて美味しいワインは、「ロゼワイン」「モエ・エ・シャンドン・アイス・アンペリアル」「甘口の白ワイン」
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この記事を書いた人

・飲食店の勤務経験12年(うち、ソムリエ9年)
・日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
・C.R.D.O認定 公式ベネンシアドール
・2009年 JALUX WINE AWARD ファイナリスト

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