酒精強化ワインはなぜ開栓後も長持ちする?保存性が高い理由をソムリエが解説

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ぴのこ

酒精強化ワインって、開けた後はどれくらい味が長持ちするものなんですか?普通のワインは2〜3日くらいで味が落ちてしまうイメージありますけど…。

きむ

酒精強化ワインはアルコール度数を高めてあるので、普通のワインよりもはるかに長い期間、味が落ちないよ。開けてすぐ飲み切る必要がないので、自宅でストックしておくのに便利なワインだね。

しょうさん

今回は、酒精強化ワインが開栓後も長持ちする理由を解説します。タイプごとの保全性の高さ(=味が落ちない期間)や、おすすめ酒精強化ワインも紹介します!

目次

酒精強化ワインの保存性が高いメリット

酒精強化ワインの大きな魅力のひとつが、「開栓後の保存性の高さ」です。これは、日常的にワインを楽しむ人にとって、想像以上に大きなメリットになります。

通常のワインは開栓した直後から酸化が進み、2〜3日ほどで美味しさのピークが過ぎてしまいます。そのため、「開けたらその日のうちに飲み切る」のが理想です。しかし実際には、お酒の強さには個人差があります。1本を1人で、しかも短時間で空けるのが難しい方もいるのではないでしょうか。

また、晩酌のシーンでは「今日はワインだけ」と決め打ちするよりも、ビールや蒸留酒など、気分に応じて複数のお酒を楽しみたいという場合もあるでしょう。さらに、毎日飲酒するとは限らない生活スタイルの方であれば、「少し飲んで、続きはまた後日」という飲み方もしたいはずです。

こうした現実的なワインの飲み方に対して、通常のワインはやや不便です。数日〜1週間後に飲もうとしたときには、味が落ちてしまっているケースも珍しくありません。

一方の酒精強化ワインは、開栓後も数週間から数ヶ月間にわたって美味しさが保たれるため、無理に飲み切らなくても大丈夫です。つまり、「好きなタイミングで、長期にわたって、少しずつ楽しめるワイン」なのです。

日々の生活リズムや個人の飲酒スタイルに柔軟に寄り添ってくれる点こそ、通常のワインにはない、酒精強化ワインの大きなメリットだと言えるでしょう。

酒精強化ワインの味が開栓後も落ちにくい理由

ワインの風味が劣化する主な原因は、「微生物による腐敗」と「酸化」の2つです。酒精強化ワインの味が開栓後も落ちにくいのは、高いアルコール度数ゆえに、この腐敗と酸化に強いからです。

アルコール度数が約15%を超えると、酢酸菌などの微生物はほとんど活動できなくなります。そのため、アルコール度数が15%以上の酒精強化ワインは通常のワインに比べて腐敗が起こりにくく、結果として劣化が遅くなるのです。

また、アルコール度数の高さは、酸化の進み方を緩やかにします。酸化のスピードは、ワインの「酸素量・温度・成分の反応性」によって決まるのですが、アルコール度数が高くなるとワインの中の液体の性質が変わり、香り成分の揮発や化学反応の進み方が穏やかになります。その結果、酸化による香りや味の変化がゆっくり進むのです。

また、酒精強化ワインの残糖や酸度の高さも、味が落ちにくい理由として挙げられます。

酒精強化ワインには、甘味(=残糖)や豊富な酸が含まれていることが多いのですが、それらがワインの中で緩衝材のように働いて風味の崩れがゆっくり進むと言われています。

しょうさん

つまり、豊富な糖分や酸がクッションの役割を果たし、味の変化をなだらかにするということですね。

どれだけ長持ちするかはタイプごとに異なる

ただし、開栓後どれだけ長持ちするかは、酒精強化ワインのタイプごとに異なります。一般的には辛口の方が短く、甘口になるほど長くなる傾向です。

タイプ開栓後、長持ちする期間
辛口シェリー2週間〜1ヶ月(酸化熟成タイプの方が長い)
甘口シェリー1ヶ月〜2ヶ月
極甘口シェリー3ヶ月
ポート1ヶ月〜2ヶ月
辛口・半辛口マデイラ6ヶ月以上
甘口・極甘口マデイラ12ヶ月以上
きむ

マデイラは、醸造過程で「加熱処理」をしているので、他の酒精強化ワインよりもさらに高い保存性を誇ります。

【自宅にこの1本】味が長持ちする酒精強化ワイン3選

最後に、自宅に1本あれば確実に重宝する、保全性が高い酒精強化ワインを3つ紹介します。

ボデガス・イダルゴ ラ・ヒターナ クリーム アラメダ

1本目は、甘口のシェリーです。造り手は1792年創業の名門「ボデガス・イダルゴ」。海風の影響を受けるシェリーの産地「サンルーカル・デ・バラメダ」で、軽やかさと上品さを兼ね備えたシェリーを造り続けています。

このクリームは、シェリーの中でも特に親しみやすい甘口スタイルで、レーズンやキャラメル、ドライいちじくの濃密な香りが特徴的です。黒糖のようなコクのある甘みとナッツのニュアンスが調和し、アルコールの高さを感じさせない優しい飲み心地に仕上がっています。酒精強化ワインに飲み慣れていない方でも「美味しい」と素直に感じられる、わかりやすさと奥深さを両立した味わいです。

こちらのクリームは、冷暗所や冷蔵庫で保管すれば、開栓後2ヶ月程度は美味しさを保ったまま楽しめます。一般的なワインのように2〜3日で飲み切る必要がなく、「好きな時に好きな量を飲む」という贅沢な楽しみ方ができるため、非常におすすめです。

グラハム トウニーポート 10年

おすすめの2本目は、グラハム トウニーポート 10年です。造り手はポートワイン界の名門「シミントン・ファミリー・エステーツ」が所有するグラハム。200年以上の歴史を持ち、濃厚さとエレガンスを兼ね備えたスタイルで世界中のファンを魅了し続けているメーカーです。

平均熟成年数10年のトウニーポートは、長い樽熟成によって生まれる芳醇な香りが最大の魅力です。グラスに注ぐと、ナッツやキャラメル、ドライフルーツ、ほんのりオレンジピールの香りがふわっと広がります。口当たりはとても滑らかで、優しい甘みと穏やかな酸味がバランスよく調和しており、熟成によって角が取れているため驚くほどスムーズな味わいです。

開栓後も酸化に強く、冷暗所や冷蔵庫で保管すれば2ヶ月程度は味が落ちません。毎日晩酌できるとは限らない、忙しい人にとってもおすすめの1本です。

ヴィニョス・バーベイト マデイラ セルシアル 10年

3本目は、半辛口タイプのマデイラです。造り手はポルトガル・マデイラ島の実力派生産者「ヴィニョス・バーベイト」。伝統を守りながらもクリーンで現代的なスタイルを追求し、世界中の愛好家から高い評価を受けています。

セルシアルというブドウ品種から造られるこちらのマデイラは、ドライでシャープな半辛口で、柑橘の皮やローストナッツ、ほのかなカラメルの香りが感じられます。キリッとした酸味が全体を引き締めており、軽やかな旨味とスッキリした後味が魅力です。

特筆すべきは、マデイラ特有の圧倒的な保存性の高さです。加熱熟成と酸化熟成を経ているため、酒質が非常に安定しており、開栓後でも味わいがほとんど落ちません。適切に保管すれば半年程度、場合によってはそれ以上の期間も楽しめるのが、マデイラをおすすめする大きな理由です。

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この記事を書いた人

・飲食店の勤務経験12年(うち、ソムリエ9年)
・日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
・C.R.D.O認定 公式ベネンシアドール
・2009年 JALUX WINE AWARD ファイナリスト

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