【ソムリエ厳選】美味しい&おすすめシェリー10選 〜極甘口編(モスカテル&ペドロ・ヒメネス)〜

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きむ

本記事では、酒精強化ワイン「シェリー」のプロフェッショナル「ベネンシアドール」の資格をもつソムリエが厳選した、「おすすめ極甘口シェリー10選」をご紹介します!

目次

他のワインにはない唯一無二の個性!シェリーの極甘口タイプ

スペインのアンダルシア地方で造られる酒精強化ワイン「シェリー」。全部で10種類あり、それぞれ辛口・半甘口〜甘口・極甘口の3タイプに分けられます。

タイプシェリーの種類
辛口フィノ
マンサニーリャ
オロロソ
アモンティリャード
パロ・コルタド
半甘口〜甘口ミディアム
クリーム
ペイルクリーム
極甘口モスカテル
ペドロ・ヒメネス(PX)

今回紹介するおすすめシェリーは、極甘口タイプのモスカテルペドロ・ヒメネスです。どちらも、ブドウ品種の名前がそのままシェリーのタイプ名になっています。ちなみにモスカテルとは、お馴染み「マスカット」のことです。

モスカテルとペドロ・ヒメネスに共通しているのは、収穫後に天日干ししたレーズン状のブドウを搾り、その果汁を発酵させる点です。

ござの上で天日干しされるモスカテル
天日干しされるモスカテル

そして、糖分がまだ残っている醗酵途中で酒精強化(ブランデーなどのスピリッツを加えてアルコール度数を上げる)します。アルコール度数が高くなると、糖分を分解する酵母の活動がストップするため、糖分が残ったままの甘くて度数が高いワインが出来上がるのです。

このモスカテルやペドロ・ヒメネスは、濃厚な甘味にトロッとした質感・舌触りをもつ唯一無二のワインです。黒蜜やドライレーズン、オレンジピール、カカオ、チョコレート、コーヒー、甘草などのリッチで甘い香りが感じられます。

どちらかといえば、モスカテルよりもペドロ・ヒメネスの方がより甘くて濃厚です。モスカテルは、マスカット由来の爽やかな酸味があるため、ペドロ・ヒメネスよりもややあっさり感じられます。

どちらのシェリーも一度飲めば忘れられなくなるくらい美味しいので、甘いワインが好きな方はぜひ飲んでみてください。甘さを抑えて飲みたい場合は8〜10℃ほどに冷やして、濃厚な甘さを感じたい場合は13〜15℃ほどの温度で飲むのがおすすめです。

モスカテル、ペドロ・ヒメネスによく合う料理(おつまみ)】

・ブルーチーズ(超おすすめ!
・ウォッシュタイプのチーズ
・チョコレート系のお菓子、ケーキ
・デザート全般
・バニラアイスクリームにかけて など

【ソムリエおすすめ】美味しすぎる極甘口シェリー10選

きむ

それでは、シェリーのプロが厳選した、おすすめモスカテル&ペドロ・ヒメネス10選をご紹介します!

  • バロン・ミカエラ モスカテル
  • ボデガス・イダルゴ ラ・ヒターナ モスカテル
  • バルデスピノ プロメサ モスカテル
  • エミリオ・ルスタウ モスカテル エミリン
  • バロン・ソルケア モスカテル
  • バルデスピノ エルカンダド ペドロ・ヒメネス
  • アントニオ・バルバディーリョ ペドロ・ヒメネス
  • ウィリアム&ハンバート ペドロ・ヒメネス 20年
  • ゴンザレス・ビアス ノエ ペドロ・ヒメネス 30年
  • スピノラ ペドロ・ヒメネス ソレラ1918

①バロン・ミカエラ モスカテル

バロン・ミカエラ モスカテルは、(家族で飲みたいシェリー)をコンセプトに、大富豪のオーナー「バロン家」が手がけるプライベートシェリーブランドです。モスカテル入門にふさわしい1本と言えるでしょう。

ミカエラのモスカテルは、濃厚な甘さがあるものの比較的あっさりとした味わいです。マスカット由来の爽やかな酸味がしっかりと感じられ、甘味と酸味のバランスが絶妙です。

モスカテルにしてはとてもリーズナブルなので、モスカテルを初めて飲むという方は、まずこちらのモスカテルを試してみることをおすすめします。

②ボデガス・イダルゴ ラ・ヒターナ モスカテル

辛口タイプのシェリー「マンサニーリャ」が有名な造り手、「ボデガス・イダルゴ」が手がけるモスカテルです。

(※)平均熟成年数3〜5年の、比較的あっさりとしたモスカテルです。ドライプラムやナッツの香り、花の香りが特徴的で、飲んだ後は爽やかな甘味の余韻が長く続きます。

モスカテルの優しい甘さは、一日の疲れを癒してくれます。開栓後も1〜2ヶ月は味が落ちませんし、値段も比較的リーズナブルなので、自宅に1本ストックしておけば食後酒として重宝すること間違いなしでしょう。

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(※)平均熟成年数
シェリーは、古いシェリーに新しいシェリーをブレンドしながら熟成させる「ソレラシステム」を採用しているので、一つの樽に入っているシェリーが何年熟成したものなのかは正確に割り出せません。そのため、「平均熟成年数」という表現をします。ソレラシステムについて詳しくは、こちらの記事で解説しています。

③バルデスピノ プロメサ モスカテル

バルデスピノは、世界的に有名なワイン評論家ロバート・パーカーから、「ヘレス(シェリーの産地)におけるロマネ・コンティのような存在だ」と評価されたメーカーです。
(※ロマネ・コンティ=フランス・ブルゴーニュ地方でワインを造る世界最高峰の生産者)

その評価のとおり、バルデスピノが手がけるシェリーはどれも一級品です。モスカテルも例外ではなく、フレッシュな酸味と濃厚な甘味のバランスが絶妙で、平均熟成年数が10年と長いため、味わいに深さがあります。

バルデスピノのシェリーの中では生産量が少ないモスカテル。見つけたときは、ぜひ飲んでみることをおすすめします。

④エミリオ・ルスタウ モスカテル エミリン

シェリーのトップメーカーと言っても過言ではないエミリオ・ルスタウ。どのタイプのシェリーも非常にレベルが高いので、モスカテルも自信をもっておすすめめできます。

平均熟成年数は8年で、凝縮した果実の香りとフローラルな香りが強く感じられ、マスカット由来のキレが良い酸味と濃厚な甘味がうまく調和しています。

モスカテルのお手本のような味わいなので、これぞモスカテルという味を知りたい方には、エミリオ・ルスタウのモスカテルをがおすすめです。

⑤バロン・ソルケア モスカテル

①で紹介したバロン・ミカエラの上級品といった位置付けのバロン・ソルケア。オーナーであるバロン家が手がけるシェリーの中でも、最高峰のシリーズです。

こちらのモスカテルは、平均熟成年数が30年の長期熟成タイプ。香ばしいトーストや、カリンなど黄色い熟したフルーツ、お香やナツメグなどのオリエンタルな香り、レモンやオレンジのピールのような甘苦い香りなど、非常に凝縮感があって複雑な香りが楽しめます。

飲んだ後にいつまでも続く長い余韻は、これがモスカテルの最高級品であることを物語っています。価格は高いですが、それに見合う価値を確実に実感できる1本です。

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ここからは、おすすめのペドロ・ヒメネスを紹介します!

⑥バルデスピノ エルカンダド ペドロ・ヒメネス

モスカテルでもおすすめしたメーカー「バルデスピノ」のペドロ・ヒメネスです。

ペドロ・ヒメネスは、シェリーの中でも生産量が少なくレアなので価格がわりと高いのですが、こちらのペドロ・ヒメネスは比較的リーズナブルに購入できるため、非常に人気があります。

価格が比較的安いからといって、侮ってはいけません。バルデスピノのペドロ・ヒメネスは、ロンドンで開催される世界的ワイン品評会「インターナショナル・ワインチャレンジ」でも金賞を取るなど、その品質の高さは折り紙付きです。

平均熟成年数は10年以上。レーズン、ドライイチジク、コーヒーや甘草などスパイスのニュアンスが強く感じられます。黒蜜のように濃厚で甘いペドロ・ヒメネス、未体験の方はぜひバルデスピノから体験してみてください。

⑦アントニオ・バルバディーリョ ペドロ・ヒメネス

アントニオ・バルバディーリョは、200年以上前から家族経営を続けるシェリーメーカーです。辛口シェリーのマンサニーリャが有名な生産者ですが、他のタイプのシェリーも非常に高品質です。

ドライプラムやレーズンなどの凝縮したベリーの甘い香りに、チョコレートやカカオの芳醇な香りがバランス良く溶け込んでいます。濃厚でクリーミーな口当たりの極甘口ペドロ・ヒメネスは、一度飲めばやみつきになること間違いなしです。

上記のバルデスピノ同様、ペドロ・ヒメネスにしては比較的リーズナブルに手に入りますので、ぜひ自宅に1本ストックしておくことをおすすめします。

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ちなみに、ペドロ・ヒメネスは開栓後も2〜3ヶ月間は大きく味が落ちることはありません。長期保存できるので、家飲みでチビチビ飲むにはもってこいですよ。

⑧ウィリアム&ハンバート ペドロ・ヒメネス 20年

ウィリアム&ハンバートは、1877年に創立されたシェリーメーカーです。こちらのペドロ・ヒメネスは平均熟成年数が20年で、(※)VOSに認定されています。

長い熟成によって、ドライプルーン・ドライイチジク・レーズン、シナモンや胡椒のスパイス香など、複雑な香りが感じられます。口に含むと、黒蜜のような甘味と共に、チョコレート・レーズン・甘草・ナッツ・コーヒーなどの味わいが広がります。

一般的なペドロ・ヒメネスをひと通り飲んで、次は高級ペドロ・ヒメネスを味わってみたいという方におすすめです。

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(※)VOS
平均熟成年数が20年以上のシェリーに与えられる特別な称号。30年以上のシェリーは、VORSとなります。VOS・VORSの称号は、非常に高級でレアなシェリーの証となります。VOS・VORSについて詳しくはこちらの記事で解説しています。

⑨ゴンザレス・ビアス ノエ ペドロ・ヒメネス 30年

辛口シェリーのティオ・ペペで有名なメーカー、「ゴンザレス・ビアス」が手がけるペドロ・ヒメネスです。平均熟成年数は30年で、VORSに認定されています。

とろけるような甘味と、濃厚かつリッチでクリーミーな口当たりは、このペドロ・ヒメネスでしか味わえません。よくバニラアイスクリームにかけることを推奨されていますが、ソムリエとしてはワインだけで飲んでいただきたいです。おすすめのシチュエーションは、焚き火をしながらゆっくりと味わうことです。葉巻と楽しんでもいいですね。

たしかに価格は高いです。しかし、この素晴らしい味わいを10,000円以下で体験できるのであれば、ソムリエ目線でコスパは間違いなく良いと言えます。

また、自宅で楽しむのも良いですが、大切な人への贈り物としてもおすすめの1本です。

⑩ボデガス・ヒメネス・スピノラ ペドロ・ヒメネス ソレラ1918

最後は、ちょっと変わったペドロ・ヒメネスをご紹介します。こちらのボデガス・ヒメネス・スピノラは、シェリーのメーカーとしては珍しく(というか唯一)、ペドロ・ヒメネスだけを造っているメーカーです。

「レベルの高いペドロ・ヒメネスしかリリースしない」というメーカーの伝統を今でも受け継ぎ、品質を最優先に少量生産を貫いています。年間生産量は1万本に満たないため、シェリーの中でもレア度はトップクラスです。

スピノラのペドロ・ヒメネスが変わっている理由は、以下の2点にあります。

  • ブドウの100%天日干しを貫いていること
  • 酒精強化をしないこと

ペドロ・ヒメネスの濃厚な甘さは、天日干しをして糖度を高めたブドウ果汁を発酵し、糖分がまだ残っている発酵途中で酒精強化(アルコール度を高める)して、ワイン中に糖分を残すことで生まれます。

ただ、あまりに手間がかかることと、ブドウのロスが多いことを理由に、現代のペドロ・ヒメネスは全てのブドウを天日干ししなくて良いことになっています。しかし、スピノラは今でもシェリーメーカーの中で唯一、ブドウの100%天日干しを実施し、酒精強強化もせずに、天然のブドウの甘さだけでペドロ・ヒメネスを造っているのです。

大量生産の工業製品ペドロ・ヒメネスとは一線を画す、スペイン王室御用達にもなったスピノラのペドロ・ヒメネス。まるで、最高品質のレーズンそのものがグラスから流れ出てくるような、これまでにない味わいを体験していただけるはずです。

まとめ

モスカテルやペドロ・ヒメネスといった極甘口シェリーには、唯一無二の味わいがあります。リッチでクリーミーな口当たりと、とろけるような甘さは、一度飲んだら脳に強く刻まれるはずです。

私も、自宅には極甘口シェリーを常にストックしています。デザートやチーズと合わせるのも美味しいのですが、個人的にはシェリーだけで、ゆっくりと時間をかけて味わうのがおすすめです。

開栓後も2〜3ヶ月間は落ちないので、モスカテルやペドロ・ヒメネスを1本ストックしておいて、食後酒や寝酒として楽しんでみてくださいね。


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この記事を書いた人

・飲食店の勤務経験12年(うち、ソムリエ9年)
・日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
・C.R.D.O認定 公式ベネンシアドール
・2009年 JALUX WINE AWARD ファイナリスト

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