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ワインの美味しい飲み方・マナーとは?ワンランク上の味わいにするコツをソムリエが解説!

ぴのこ

最近ワインを飲むときに、同じワインでも時と場合によって美味しさが違う気がするんです。ワインを美味しく味わうための正しい飲み方ってあるんですか?

しょうさん

ぴのこさんの言う通り、ワインは飲み方によって美味しさが変わります。正しい飲み方と言うよりは、より美味しく飲むためのコツみたいなものがあるので、今回は「ワインの美味しい飲み方」を伝授しますね!

きむ

ワインを美味しく飲むためのマナーも紹介するで!

目次

ワインを美味しく飲むための4つのポイント

ワインを美味しく飲むためには、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 温度
  2. グラスにこだわる
  3. 空気に触れさせる
  4. 料理に合わせる

ワインの美味しい飲み方❶ 〜温度〜

ワインは、温度によって味わいが大きく変わるお酒です。ワインの飲み方の中で、最も大事なのが温度だと言っても過言ではありません。

まず知っておいていただきたいのが、「ワインの要素が温度によってどう変わるのか」です。ワインの要素には大きく分けて、「香り」「酸味」「甘味」「渋味」「アルコール感」「泡」などがあります。

ワインの要素温度が高いとき温度が低いとき
香り強くなる弱くなる
酸味穏やかになる
ぼやける
強くなる
キリッと引き締まる
甘味強くなる
甘ったるく感じられる
控えめになる
心地よく感じられる
渋味穏やかになる
滑らかになる
強くなる
ザラつく
アルコール感強く感じる控えめに感じる
控えめに感じる
粗く感じる
強く感じる
キメ細かく感じる
【ワインの要素】温度による違い

これらをふまえて、それぞれのワインを美味しく飲むための最適な温度を見ていきましょう。

赤ワインを美味しく飲むための温度

赤ワインは「室温で飲むのが良い」と言われますが、この表現は少し語弊があります。一言で室温と言っても季節によって異なりますし、そもそも「室温で飲むべき」と言われ始めたフランスなどのヨーロッパ諸国と日本では、気温そのものが違います。

ですので、「赤ワインは室温で」と聞いたことがある方は、一旦忘れてください。

赤ワインは渋味が特徴のワインなので、冷やしすぎると渋味が強くなりすぎて美味しさが半減してしまいます。そのため、少し高めの温度で味わうのが良いでしょう。ただし、ワインのボディ(味わいの濃さ・重さ)によって、最適な温度は若干変わります。

具体的には以下の通りです。

ワインのボディ最適な温度説明
ライトボディ(軽い)12℃〜14℃フルーティーさと爽やかな酸味を際立たせるため、
やや低めの温度で楽しむ。
ライトボディの赤ワインは渋味が穏やかなので、少し低めでもOK。
ミディアムボディ(中程度)14℃〜16℃渋みと酸味のバランスを楽しむために、ライトボディと
フルボディの中間くらいの温度で楽しむ。
フルボディ(重い)16℃〜18℃渋味を滑らかに、どっしりとしたコクを感じられるように、
やや高めの温度で楽しむ。冷やしすぎに注意。
※熟成した赤ワイン18℃〜22℃熟成したワインは香りが非常に複雑で繊細なため、
高めの温度で香りと味わいの両方を楽しむ。
【赤ワイン】ボディごとの最適な温度

白ワインを美味しく飲むための温度

白ワインはフルーティさと爽やかな酸味を楽しむために、冷やして飲むと美味しいです。温度が高いと、せっかくの爽やかな酸味がぼやけてキレのない味わいになってしまいます。また、甘口の白ワインは温度が高いと甘ったるくなってしまうため、注意が必要です。

ただ、冷やすと言っても白ワインのタイプにもよります。樽熟成させたコクがある白ワインなどは、赤ワインと同じような温度で飲む方が美味しい場合もあります。

白ワインを美味しく飲むための最適な温度は、以下の通りです。

ワインのタイプ最適な温度説明
甘口の白ワイン4℃〜6℃しっかり冷やして甘味と酸味のバランスが
楽しめるようにする。
辛口の白ワイン(あっさり・フルーティ)6℃〜8℃爽やかでキレの良い酸味を楽しめるように、
しっかりと冷やして楽しむ。
辛口の白ワイン(どっしり・樽熟成)8℃〜12℃コク・アルコールからの甘味を感じられるように、
やや高めの温度で楽しむ
※熟成した白ワイン12℃〜16℃熟成した白ワインの複雑で繊細な香り・味わいが
楽しめるように、高めの温度で。
【白ワイン】タイプごとの最適な温度

スパークリングワインを美味しく飲むための温度

スパークリングワインは、基本的に冷やして飲むのが美味しいです。冷やした方が、キリッと引き締まった酸味と爽やかな炭酸が喉越しよく感じられます。

スパークリングワインのタイプ最適な温度説明
甘口スパークリングワイン4℃〜6℃甘さと酸味のバランスを取るために、冷やして楽しむ。
辛口スパークリングワイン6℃〜8℃炭酸のキメ細やかさを楽しめるように、よく冷やす。
熟成したシャンパーニュ8℃〜12℃熟成による複雑な風味を楽しめるように、
スパークリングワインにしてはやや高めの温度で。
【スパークリングワイン】タイプごとの最適な温度
ぴのこ

今まで赤ワインは常温、白ワインやスパークリングワインは冷蔵庫で冷やして飲む、くらいしか考えてなかったです。もったいないことしてましたね…。

ワインの美味しい飲み方❷ 〜グラスにこだわる〜

ワインの味わいはグラスによって大きく変化します。ワインのタイプごとにふさわしいグラスがありますので、まずは代表的なワイングラスの形を知りましょう。

チューリップ型のワイングラス

【チューリップ型のワイングラス】

ワイングラスの基本形。
汎用性が高いので、ほとんどのワインはこの形のグラスで美味しく飲める。

画像引用元:リーデル公式webサイト

【ボルドー型のワイングラス】

ボルドータイプの赤ワイン専用グラス。
チューリップ型のグラスを大きくした形で、渋味が強くどっしり重たいフルボディの赤ワインを飲むのに適している。

<適したブドウ品種>
カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン など

画像引用元:リーデル公式webサイト

ボルドー型のワイングラス
ブルゴーニュ型のワイングラス

【ブルゴーニュ型のワイングラス】

ブルゴーニュタイプの赤ワイン専用グラス。
チューリップ型のグラスを横に幅広くした形で、渋味が穏やかで心地よい酸味がある赤ワインを飲むのに適している。

<適したブドウ品種>
ピノ・ノワール、ネッビオーロ など

画像引用元:リーデル公式webサイト

【モンラッシェ型のワイングラス】

ブルゴーニュの銘醸ワイン「モンラッシェ」のような、高いアルコール度数、複雑で深い味わい、控えめな酸味、どっしりコクがある、などの特徴を持つ白ワインに適したグラス。ブルゴーニュ型に近い形をしているが、もう少し小ぶりで口が広い。

<適したブドウ品種>
シャルドネ(樽熟成タイプ)

画像引用元:リーデル公式webサイト

シャルドネの白ワイン用グラス(モンラッシェなど高級ワインに適している)
フルート型のシャンパングラス

【フルート型のシャンパングラス】

シャンパン(スパークリングワイン)専用のグラス。
シャンパンやスパークリングワインの繊細で美しい泡立ちを楽しめるように、縦長の形をしている。

画像引用元:リーデル公式webサイト

【バルーン型のシャンパングラス】

シャンパン(スパークリングワイン)専用のグラス。
フルート型に比べてふっくらした風船のような形をしており、香りが複雑で旨味が強いヴィンテージ・シャンパン(ブドウの出来が良い年にのみ造られるプレステージ・シャンパーニュ)などに適している。

画像引用元:リーデル公式webサイト

バルーン型のシャンパングラス
ぴのこ

ワイングラスって、こんなに色々な種類があるんですね。少しずつ集めるのも楽しそう!

しょうさん

基本的なワイングラスの形が分かったところで、グラスの選び方のポイントをお伝えしますね!

  • できるだけ口に触れる部分(飲み口)が薄いものを選ぶ
  • 先がすぼまった形(チューリップ型)のグラスを選ぶ
  • 基本的に白ワインは小ぶりのチューリップ型グラスでOK
  • 樽熟成させたコクのある「シャルドネ」の白ワインは、モンラッシェ型グラスがベスト
  • 基本的に赤ワインは大ぶりのチューリップ型グラスでOK
  • 渋みが強くどっしりコクがあるフルボディの赤ワインは、ボルドー型グラスがベスト
  • 渋味が穏やかで爽やかな酸味があるミディアムボディの赤ワインは、ブルゴーニュ型グラスがベスト
  • 熟成ワインは大ぶりのグラスで香りを楽しむ
  • たくさん揃えるのが面倒な場合は、汎用性が高い「普通サイズのチューリップ型グラス」さえあればOK

ワイングラスの選び方をもっと詳しく知りたい方は、ワインとグラスの美味しい関係(新記事作成予定)をご覧ください。

ワインの美味しい飲み方❸ 〜空気に触れさせる〜

お酒の中では珍しい特徴なのですが、ワインは空気に触れることで香りが開き、味わいも良くなるお酒です。

特に赤ワインの渋味は、空気に触れることでまろやかになる特徴があります。ワインを開けた直後に飲んで「ちょっと渋味が強いな…」と感じた場合は、ワインを空気に触れさせてあげてください。

ワインを空気に触れさせるには、別の容器(デキャンタ)に移し替える「デキャンタージュ」をするのが一番効果的です。面倒な場合は、グラスに入れたまましばらく放置しておくだけでもOKです。

ワインをデキャンタージュするソムリエ
ワインを空気に触れさせるデキャンタージュ

ワインの美味しい飲み方❹ 〜料理と合わせる〜

ワインはそれだけで飲んでも美味しいのですが、料理と合わせることで何倍も美味しく感じられるお酒です。

ぴのこ

いわゆる「マリアージュ」ですね!

料理とワインの合わせ方には、一応セオリーみたいなものがあります。例えば、「肉料理には赤ワイン」「魚介類には白ワイン」「カジュアルな料理にはカジュアルなワインを合わせる」「格式高い料理には格式高いワインを合わせる」などですね。

ただ、料理とワインを合わせる際は細かいことを考えずに、自分が好きな組み合わせで楽しむのが一番です。人の味覚はそれぞれ違いますので、たとえ一般的には美味しいとされる組み合わせでも、自分が美味しく感じるとは限りません。

牛肉の赤ワイン煮込みと白ワインを合わせて美味しいと感じるのであれば、それが正解です。白身魚のカルパッチョと赤ワインを合わせたって、美味しいと思うのであればそれで良いのです。

しょうさん

エビやカニなどの甲殻類は、まろやかでコクのある白ワインがよく合うとされていますが、私はカニ料理と軽めの赤ワイン(特にピノ・ノワール)を合わせるのが好きです。このように、味覚は人ぞれぞれです。自分だけの料理とワインのマリアージュを見つけるのもまた、ワインの楽しみ方ですよね。

それに、少し話はそれるかもしれませんが、セオリーにとらわれないことも食の楽しみ方の一つではないでしょうか。セオリーではワインが合うとされる料理であっても、ワイン以外のお酒を合わせた方が美味しく感じられることもあります。

きむ

例えば、「キャビアとシャンパン」「生牡蠣と辛口白ワイン」とかは良い組み合わせとされてるけど、僕は美味しいと思わへんわ。「キャビアにはキンキンに冷やしたウォッカ」「生牡蠣にはクセが強いスコッチウイスキー」が最高のマリアージュやで!

とはいえ、料理とワインの合わせ方について、セオリーやソムリエのテクニックを知っていて損はありません。

料理とワインの相性についてもっと詳しく知りたいという方は、「ソムリエがおすすめするマリアージュテクニック(新記事作成予定)」をご覧ください。

ワインを美味しく飲むマナー

最後に、ワインを美味しく飲むための基本的なマナーについてご紹介します。一人で飲むときはあまり気にしなくて良い内容もありますが、誰かと一緒に飲むときはマナーにも気をつけてみてください。

乾杯でグラス同士を当てない

ワイングラスをぶつけて乾杯する様子とバツマーク

ワインを飲むときの乾杯は、グラス同士を当てないようにしましょう。ワイングラスはとても繊細なので、少しの衝撃で割れてしまうことがあります。

特に飲食店では、高級なワイングラスを使用しているところもあります。高級なワイングラスほど薄く繊細に作られていて衝撃に弱いため、強くぶつけて割れてしまう可能性もゼロではありません。

ワインを飲むときの乾杯は、自分の目線あたりまでグラスを掲げるだけで良いでしょう。

しょうさん

グラス同士をぶつける乾杯は、古代ヨーロッパで生まれた慣習です。当時はお酒の席で毒による暗殺が横行していました。そこで、強くぶつけて自分のグラスのお酒を飛び散らせて相手のグラス内に入れ、それをお互いが飲むことでお酒に毒が入っていないことを確かめ合っていたことが由来ですね。

きむ

他にもグラスをぶつけて大きな音を立てることで、部屋の中に潜む悪魔を追い払っていたという説もあるで。

ぴのこ

現代では暗殺も悪魔払いもないから、グラス同士をぶつける乾杯はしなくていいですね。

グラスを回す「スワリング」に注意

赤ワインのグラスを回す様子(スワリング)
スワリング

ワインが注がれたグラスを、くるくる回している光景を見たことはありませんか?これは「スワリング」と言います。

スワリングすることでワインが空気に触れ、香りが開いて味わいもまろやかになります。ただし、スワリングするのにも注意が必要です。勢いよく回しすぎてワインがグラスからこぼれてしまい、目の前の人や隣の人にかかってしまう危険性があるためです。

スワリングすること自体は問題ないのですが、周りに人がいるときは注意しましょう。右隣に人がいる場合は反時計回り、左側に人がいる場合は時計回りに回せば、相手にワインがかかることはありません。

注ぐ量も大事

ワインを注ぐ量は、グラスに3分の1ほどの量にしましょう。大きいグラスの場合、入れ過ぎると重くて持ちにくくなってしまいます。

また、なみなみと注いでしまうと、せっかくの香りが感じにくくなります。グラスの3分の1ほどまで注いで、残りの3分の2ほどの余白部分に香りを充満させることで、ワインが持つ香りを存分に堪能できるようになります。

グラスの持ち方

ワイングラスの脚の部分を持つ男性の手

ワイングラスはワインを注ぐボウルの部分と、それを支える脚の部分からできています。決まった持ち方はありませんが、なるべくワインの脚の部分を持つと良いでしょう。

ボウルの部分を持つのは見た目に良くないのもありますが、手の温度でワインが温められてしまい、本来楽しむべき温度より高くなってしまうというデメリットもあります。

口の中でワインを転がさない

ワインを飲み慣れた方がワインを口に含んだ後に、「ズズゥーッ」と空気を吸い込だり「スルスルスル〜」と舌の上で転がしたりする光景、見たことはありませんか?

ワインを空気に触れさせる「グリマージュ」という行為なのですが、あまりおすすめめしません。聞いていてあまり心地が良い音ではないため、周りの人たちが不快な気分になる可能性があります。

そもそもこの行為は、プロ(ワインの造り手やソムリエ)がワインの味を確認するときに行なうもので、普通にワインを飲むときには必要ありません。

どうしてもやりたい場合は、あまり大きな音を立てないようにしましょう。

まとめ

しょうさん

それでは最後にワインの美味しい飲み方をまとめます!

  • ワインごとにふさわしい温度で飲む
  • ワインごとに適したグラスを選ぶ
  • ワインを空気に触れさせて香りや味わいを開かせる
  • 料理とワインを合わせて楽しむ
  • ワインを楽しむにはマナーも大事
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この記事を書いた人

・飲食店の勤務経験12年(うち、ソムリエ9年)
・日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
・C.R.D.O認定 公式ベネンシアドール
・2009年 JALUX WINE AWARD ファイナリスト

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