【ソムリエ厳選】おすすめシェリー10選 〜マンサニーリャ編〜


本記事では、酒精強化ワイン「シェリー」のプロフェッショナル「ベネンシアドール」の資格をもつソムリエが厳選した「おすすめマンサニーリャ10選」をご紹介します!
※Manzanillaは、スペイン語読みでは「マンサニージャ」ですが、本記事では「マンサニーリャ」に統一しています。
マンサニーリャは海側で造られるフィノタイプのシェリー
マンサニーリャは、酵母の膜「フロール」とともに熟成させた「フィノ」と同タイプのシェリーです。ただ、海側の産地「サンルーカル・デ・バラメダ」で造られたフィノタイプは、マンサニーリャという名称になります。

海側のサンルーカル・デ・バラメダでは、フロールの膜が内陸に比べて分厚くなる傾向があります。分厚いフロールの膜によって「より空気に触れない状態」で熟成が進むため、内陸のフィノに比べてマンサニーリャの方がフレッシュさが強くなります。
また、フロール由来のイースト香(=酵母の香り)がフィノに比べて穏やかなマンサニーリャは、シェリー初心者の方にも親しみやすい味わいです。
これからシェリーを飲んでみようという方は、まずマンサニーリャから飲んでみるのもおすすめです。

ソムリエおすすめ【マンサニーリャ10選】

シェリーのプロがおすすめするマンサニーリャ10選は、以下です!
- ボデガス・イダルゴ ラ・ヒターナ マンサニーリャ
- デルガド・スレタ マンサニーリャ ラ・ゴヤ
- アントニオ・バルバディーリョ マンサニーリャ ソレアール
- ホセ・エステベス マンサニーリャ ラ・ギータ
- バルデスピノ マンサニーリャ デリシオサ
- バロン・ミカエラ マンサニーリャ
- バロン・ソルケア マンサニーリャ・パサダ
- エミリオ・ルスタウ マンサニーリャ パピルーサ
- エミリオ・ルスタウ アルマセニスタ マンサニーリャ・パサダ・デ・サンルーカル 1/80
- ボデガス・イダルゴ ラ・ヒターナ マンサニーリャ・エン・ラマ
①ボデガス・イダルゴ ラ・ヒターナ マンサニーリャ
スペイン国王カルロス3世がアンダルシアへの移民を奨励した18世紀、スペイン北部から移住してきたホセ・バンタレオン・イダルゴが1792年に設立したシェリーメーカーです。
毎年ロンドンで開催されるワインの品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」において、2年連続でトロフィーを受賞した素晴らしい味わい。「マンサニーリャといえばラ・ヒターナ」と言っても過言ではないくらい、世界的に知名度が高いシェリーです。
フレッシュ&ドライで軽快な口当たり、フロール由来のナッツの香りや青リンゴの風味、とてもバランスの良い味わいです。マンサニーリャを初めて飲む方は、まず「ラ・ヒターナ」を飲んでみてください。
②デルガド・スレタ マンサニーリャ ラ・ゴヤ
デルガド・スレタは、1744年にフランシスコ・ヒル・デ・レデスマンによって創業された歴史あるメーカーです。
フラッグシップワインのラ・ゴヤは、凝縮感が強い濃いめのマンサニーリャ。
一般的なマンサニーリャの平均熟成年数が3〜4年なのに対して、ラ・ゴヤは平均7〜8年熟成のため、濃い黄金色をしています。フレッシュで軽快な口当たりの中に力強い風味と旨味が感じられる、まさに通好みのマンサニーリャです。

マンサニーリャをたくさん飲んできましたが、私はラ・ゴヤが一番好きです!

③アントニオ・バルバディーリョ マンサニーリャ ソレアール
1821年、ベニグノ・バルバディーリョがサンルーカル・デ・バラメダでスタートさせたシェリーメーカーです。200年経った今も一族経営を続ける、マンサニーリャの大手メーカーです。
青リンゴやハーブの清涼感のある香りに、アーモンドやナッツの香ばしい香り、マンサニーリャ特有の「潮の香り」がほのかに感じられます。
フレッシュ&ドライながら、クリーミーな口当たり。食前酒というよりは食中酒として楽しんでいただきたいマンサニーリャです。
④ホセ・エステベス マンサニーリャ ラ・ギータ
ホセ・エステベスは、1984年にエステベス家が設立したシェリーメーカーです。ラ・ギータは平均熟成年数が5〜6年と、一般的なマンサニーリャに比べて1〜2年長いため、ライトな味わいながらしっかり旨味も感じられます。
青リンゴやパイナップルなどのフレッシュな香りに、フロール由来のイースト香がバランス良く溶け込んでいます。食前酒・食中酒のどちらとしても楽しめる、オールラウンダーなマンサニーリャです。
⑤バルデスピノ マンサニーリャ デリシオサ
13世紀以来、ヘレスの地で家族経営のワイン造りを続けてきた歴史あるメーカー「バルデスピノ」。現在は、上述の「ホセ・エステベス」の傘下となっています。
高品質なイノセンテ・フィノが有名ですが、マンサニーリャも非常に素晴らしい味わい。上品でエレガントな味わいので、キリッと冷やして食前に楽しみたいシェリーです。
⑥バロン・ミカエラ マンサニーリャ
シェリー好きにぜひ飲んでいただきたい掘り出し物が、この「バロン・ミカエラ マンサニーリャ」です。
オーナーであるバロン家はワイン事業以外にもたくさんの事業で成功している大富豪。そんなオーナーが「家族で飲みたいシェリー」というコンセプトで、採算度外視でプライベート・リザーヴ的なシェリー造りを行なっています。
プライベート・リザーヴのため生産量も少なく、日本に入荷されてもホテルのバーやレストラン、シェリー専門店などに割り当てられるため、なかなかお目にかかれません。
熟したリンゴにヘーゼルナッツの香ばしい香り、その裏にかすかに白胡椒のスパイシーなニュアンスがあります。イキイキとしたフレッシュな酸味とクリーミーな質感のバランスが非常に良いマンサニーリャです。

価格以上の満足感を味わえるコストパフォーマンスの良さという点では、バロン・ミカエラの右に出る者はいないですね!プロとしても、非常にオススメの1本です!
⑦バロン・ソルケア マンサニーリャ・パサダ
上述のミカエラを手がけるバロン家の最上級シェリーが、この「バロン・ソルケア マンサニーリャ ・パサダ」です。マンサニーリャ ・パサダとは、通常よりも平均熟成年数が長いマンサニーリャのことで、深いコクと旨味が味わえます。
一般的なマンサニーリャの平均熟成年数が3〜4年なのに対して、バロン・ソルケアは12年。マンサニーリャらしい青リンゴの香り・潮の香り・イースト香・古い樽の香りが感じられ、フレッシュ&ドライながら肉付きが良く、凝縮感の強い味わいです。
「普通のマンサニーリャに飽きた」という方におすすめの1本です。
⑧エミリオ・ルスタウ マンサニーリャ パピルーサ
エミリオ・ルスタウのシェリーにハズレはありません。どのタイプを飲んでも、間違いなく満足できます。
それもそのはず、エミリオ・ルスタウは毎年ロンドンで開催される「インターナショナル・ワインチャレンジ・コンペティション」の酒精強化ワイン部門において、7年連続も最優秀賞を受賞した実績をもつ、シェリーのトップメーカーなのです。
「マンサニーリャ パピルーサ」は、マンサニーリャ特有のほのかな潮の香りに、柑橘系フルーツやヘーゼルナッツの香りが感じられます。軽快でデリケート、非常にバランスの取れた味わいのマンサニーリャです。よく冷やしてシーフーマリネなど酸味のきいた魚介料理とお楽しみください。
⑨エミリオ・ルスタウ アルマセニスタ マンサニーリャ・パサダ・デ・サンルーカル 1/80
アルマセニスタとは、シェリーの醸造から貯蔵熟成までだけを行ない、出荷しない業者のことを指します。
アルマセニスタのシェリーは、そのほとんどが大手メーカーのブレンド用に使われます。しかし、一部のアルマセニスタのシェリーは、個性的で非常に素晴らしいものがあります。そこで、エミリオ・ルスタウは、それらアルマセニスタのシェリーをブレンドせずに出荷する「アルマセニスタシリーズ」を販売しているのです。
マンサニーリャ・パサダ・デ・サンルーカル 1/80は、通常のマンサニーリャよりも平均熟成年数が長いタイプです。アーモンドやレモンピールの香りに、カモミールなどの香り高いハーブ、潮の香り、熟成による複雑な味わいが渾然一体となっています。
世界的なワイン品評会「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション2014」で金賞に輝いた、名実ともに素晴らしいマンサニーリャです。

⑩ボデガス・イダルゴ ラ・ヒターナ マンサニーリャ・エン・ラマ
最後は、1本目で紹介した「ボデガス・イダルゴ」の特別なマンサニーリャをご紹介します。
マンサニーリャ ・エン・ラマとは、無濾過のマンサニーリャ(=樽出しの味)のことです。濾過せずに樽から直接ボトリングするため、マンサニーリャ特有の酵母の香りがダイレクトに感じられ、ふくよかな味わいが楽しめます。
本来は、シェリーの熟成庫内で試飲の時だけ飲まれてきたエン・ラマ。限定生産&限定出荷のため、非常に入手困難なレアシェリーです。見つけた時は、ぜひ飲んでみることをおすすめします。
まとめ
マンサニーリャは、シェリーの代表的なタイプ「フィノ」と同じタイプです。しかし、フィノに比べてナッツのような酵母の香り(=イースト香)が控えめで、フレッシュさがより強いライトな味わいが楽しめます。
お寿司をはじめ、魚介を使った和食とも非常に相性が良いので、ぜひ和風のおつまみと一緒に楽しんでみてください。
